すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


安倍(静岡市駿河区)




「安倍」は古代から駿河国の賑やかな市であったらしい。
万葉歌でも「安倍の市道・・・」(下の一つ目の歌)とあるし、鎌倉時代の二条為明の歌にも「いっそう喧しく安倍の市人が騷ぎ立てているらしい・・・」(下の二つ目の歌)と市の喧騒を伝えている。
東海道中膝栗毛の頃には府中宿の歓楽街として有名だったようだ。


焼津辺に吾が行きしかば駿河なる阿倍の市道に逢ひし子らはも 万葉集
いとどしくあべの市人さわぐらし坂こえかかる夕立の雲 二条為明



古代の安倍の市が、その後に府中宿になっていったのだろう。




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「安倍の市」とは関係ないけど、近くを安倍川が流れていたので見学。


上流方面を望む。

フォッサマグナの糸魚川静岡構造線は、静岡辺りでは安倍川に沿って走っているらしい。



川の向こう岸の山の辺りは「手越」。
その向こうには「手児の呼坂」「鞠子」「宇津の谷」が続く。
この付近は古代東海道、中世東海道が通っていて、そのためいろいろな「ゆかりの地」が点在している。



猛暑凌ぎ難い炎天下のもと、企業の営業メンバーたちがクーラーを利かした車の中で昼寝をしていました。



大都会の静岡市を流れる川にしては、自然がたくさんあった。






もうひとつ、万葉歌


坂越えて 阿倍の田の面に 居る鶴の ともしき君は 明日さへもがも 万葉集
(私訳)坂を飛び越えて安倍の田圃にやってきた鶴のような、
 あこがれの君に明日も会いたい。









お土産は「名物 安倍川餅」
あの弥二さん喜多さんも食べていた。














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