すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


化野(あだしの)(京都市右京区)




妻と、秋の嵯峨路、化野の散策に出掛けた。

古来から葬送地として有名な化野って、どうも暗く恐ろし気な感じがして、今まで訪問したことがなかった。
風葬、石仏石塔、野ざらし、賽の河原、等々のイメージからどうも行く気になれない。

いつも祇王寺まで行って、そこから大覚寺方面に曲がる。
嵯峨野の一番奥にあることを理由に、なんとなく避けてきた訳である。

今回は妻の方から化野訪問を希望。
子供のころに化野念仏寺に行ったが素晴らしい眺めだったらしく、今回は季節も良いのでまた行ってみたいとのこと。

感じ方って、人によって違うんだとつくづく思う。





愛宕街道
平日だったので観光客も少ない。
嵐山周辺にあふれかえっていた外国人もほとんどここまで来ないようだ。











化野念仏寺の参道



境内
紅葉と苔が素晴らしい。

紅葉は少し早かったのか。
「色付き始め」ぐらい。



いやはや恐ろし気な石仏群
「賽の河原」ではなく、ここでは「西院の河原」らしい



これ以上中に入っての撮影は禁止されている



これはこれで素晴らしいものがあった



ポスターとかでよく見る光景




とりあえず妻が満足していたのでよかった




こんな化野を詠んだ歌


暮るる間も待つべき夜かはあだし野の末葉の露に嵐たつなり 式子内親王(新古今和歌集)


誰とてもとまるべきかはあだし野の草の葉ごとにすがる白露 西行


あだし野の風になびくな女郎花われしめゆはん路遠くとも 源氏物語



徒然草にも登場

あだし野の露消ゆるときなく、鳥部山の煙立ち去らでのみ、住み果つるならひならば、いかにもののあはれもなからん。世は定めなきこそいみじけれ。 吉田兼好
徒然草)



平安時代、京都には化野のほかに鳥辺野、蓮台野の風葬地があったらしい。










行ったら行ったで良かったです





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