すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


吾妻子(あづまこ)の滝(広島県東広島市)







広島の、こんなところに平家物語の関連史跡があった。知らなかった。


登場人物は、源頼政の側室、菖蒲御前(あやめごぜん)と若君の種若丸(たねわかまる)


源頼政は(ぬえ)退治で手柄を上げ、平家以外の武士として珍しく従三位に昇進し公卿となった。

老境に達していた源頼政であるが、平家追討を掲げた以仁王の令旨に呼応して挙兵。しかし平家の圧倒的な軍勢に敗れて宇治平等院で自害。

当時、身重であった菖蒲御前は3歳の種若丸を連れて西国に逃れていった。

備後国の千尋の滝まで来たとき、幼い種若丸は旅の疲れで亡くなった。




そこで菖蒲御前が詠んだ歌

吾妻子千尋の滝と荒れ果てた広き野原の末や知るらん 菖蒲御前


菖蒲御前は手向けの歌を詠み、種若丸は滝の傍らに埋葬された。後に、この滝は「吾妻子の滝」と呼ばれ、滝の上に観音堂が建てられた。







戦いの敗者に繋がる係累はそれぞれ同じような悲劇を味わっている。
ただ吾妻子伝説は、千尋の滝の景趣が優れていたこと、そして絶妙な詠歌があったことで、後世まで伝承として残り、現在史跡が整備されることになった。










【現地訪問】 

吾妻子の滝 ・・・ 東広島市西条町御薗宇517



滝の上、平地が広がっていた



落差は約15メートル、落ち口の幅は35メートルという壮大な滝



岩盤は花崗岩とのこと



もう一枚



「吾妻子の滝公園」として一帯が整備されている



晩はビジネスホテルで一人宴会
地元西条の賀茂鶴は美味しかった














朝ドラ「マッサン」の主人公の実家は西条の造り酒屋でした





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