すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
吾妻山(福島県)
吾妻山は福島市の西のかたに聳え、標高は2000メートルを超える。 活火山であり、現在でも噴煙を上げている。 この煙を恋に焦がれる恋心に見立て、古来、吾妻山は「物おもい山」と呼ばれていたようだ。 そんな吾妻山(物おもい山)を福島市内から見学しようと、いろいろ走っていたら、雲が出てきて全く見えなくなった。(残念) こんな感じ ![]() こんな写真になってしまった。 これでは何の写真なのか分からないので、転載フリーのWikipediaの写真を掲載する。 |
東北歌枕巡りの旅行の前に、若槻武雄氏の「蝦夷・陸奥・歌枕」という本を購入し、訪問地選定の参考にした。 その本の中で、吾妻山の項目に紹介されている歌は次の通り。 |
見ても思ひ 見ずても思ひ おほかたは わが身ひとつや 物思ひ山 | 赤人(古今六帖) | |
さのみなと くたく心ぞ 恋の山 人にはそはぬ たつ木なき身を | 正徹 | |
小夜ふけて かたらひ山の ほととぎす 一人寝覚の床に鳴きけり | 夫木和歌抄 | |
陸奥の 信夫の里に 道はあれど 恋てふ山の 高根しるしも | 西行 | |
語らひの 森の言の葉 散りぬらん 思ひの山の まつぞかはらぬ | 古今六帖 | |
年を経て しげる嘆きを こりもせで など深からん 物おもひ山 | 藤原顕昭 |
これらの歌について、吾妻山とは関連性のなさそうなのも含まれている。 ただし、上から四つ目の西行の歌は、一般的に福島市内の信夫山だとされているが、西行は実際に現地へ行っていることと、「高根(=高嶺)」が詠み込まれていることから、逆に吾妻山を詠んだ歌だと思う。 |
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