すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


阿胡(あご)の海(広島県呉市)







娘子らが 麻笥に垂れたる 続麻なす 長門の浦
朝なぎに 満ち来る潮の 夕なぎに 寄せ来る波の
その潮の いやますますに その波の いやしくしくに
我妹子に 恋ひつつ来れば 阿胡の海の 荒磯の上に
浜菜摘む 海人娘子らが うなげる 領巾も照るがに
手に巻ける 玉もゆららに 白栲の 袖振る見えつ 相思ふらしも
万葉集

反歌
阿胡の海の荒磯の上のさざれ波 我が恋ふらくはやむ時もなし 万葉集




反歌は、荒磯のさざ波のように私の恋心は止まることがない、という内容。
阿胡の海は広島県呉市の阿賀港のこと。
気になるのは、瀬戸内の穏やかな海に「荒磯」は相応しくない点。
まあ、万葉歌の作者も阿胡の海を前にじっくり眺めて詠んだのではなく、寄せ来る波の慣用表現として荒磯を組み合わせたのだろう、たぶん。









■ 現地訪問


大空山公園の展望台へ行った


展望台からの眺め
前面の木々が生い茂り、眺望は良くなかった



これが阿胡の海
遠いが、穏やかな海のようだ
ずっと遠くに見えるのが四国



展望台にあった鳥瞰図
干拓で陸地が広がっている














展望台のすぐ下に万葉歌碑があったらしいです





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