すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


相の山(三重県伊勢市)




これも「東海道中膝栗毛」ネタ


弥次さん北さんは、伊勢神宮に参拝の前に古市遊郭で遊んでしまい、朝帰りとなったのだが、その日の天気がとても長閑だったので、急ぎ内宮外宮を回ることにした。

また戻ってきた古市への上り口は「相の山」という。ここではお杉とお玉という女芸人がいて、三味線をかき鳴らし唄って、旅人に銭を乞うている。旅人が銭を二人めがけて投げつけると、顔をヒョイとふりよける。

「ベンベラ \/ チャンテン \/\/\/
弥次「あつちらのしんぞう
(二十歳前後の若い女)がゑくぼへ、ぶつけてやろう
・・・当たらず

「ベンベラ \/ 
北八「ドレおれが、あてゝ見せやう。ハアこれはしたり


と、全く当たらなかったので、北さんは小さな石ころを拾って女に投げつけた。
すると、

かの女、ばちにてちょいとうけ、なげかへせば、弥次郎のかほへぴつしゃり
弥次「アイタヽヽヽヽ
北八「ハヽヽヽヽ、こいつは大わらひだ
弥次「アヽいて
\/

とんだめにあひの山とやうちつけし石かへしたることぞをかしき 弥次さん(東海道中膝栗毛)


 

とにかく女芸人は、銭を投げると顔をよけていたので、北さんが小石を投げつけてみたら、バチで打ち返してきて、弥次さんの顔に当たったというストーリー。

この狂歌は、「相の山」で、とんだ目に「あった」とし、石を「打ち返し」と「意趣返し」に掛けている。









こんな相の山に行ってきた。


こんな感じ
(相の山の連続写真)















この坂を越えると、伊勢の歓楽地、古市へ至る。
往時は伊勢神宮への参拝客でごった返していたのだろう。

江戸時代の相の山の光景

伊勢参宮名所図会(相の山)
早稲田大学図書館


この図会の中の右手に「お杉とお玉」が三味線を弾いている。
左手にも大道芸人がおり、街道を多くの旅行客が往来している。












東海道膝栗毛は京都大坂編になると、急に面白くなくなります





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