すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
相生松原(兵庫県相生市)
和歌の世界で、「あふのまつばら」(相生松原/阿武松原)は各地にあるようだ。 前後の文脈、詞書、歌の中の地方名などによって、どこの「あふのまつばら」なのか判別できる。 たとえば、 |
みちのくの思いしのぶにありながらこころにかかるあぶの松原 | 藤原実長 |
であれば、「みちのく」と「しのぶ」から陸奥の歌枕になるし、 |
はかなしな 心つくしに 年をへて いつともしらぬ あふの松原 | 藤原経房(千載和歌集) |
これは「つくし」と「筑紫」国を掛けているので、筑紫の歌枕になる。 では本題の、兵庫県相生市の「相生の松原」を詠んだのは次の歌。 |
播磨潟うらみてのみも過ぎしかど今宵とまりのあふの松原 | 堀河百首 |
「相生市」が昔は「相生町(あうちょう)」であったり、現在も「相生(おお)」という集落があったりするので、上記の歌枕と関連するようだ。 (いろんな疑問点はあるが) 現地を訪問した先に、現在に残る「相生の松原」を探してみた。 ![]() 地図で見る限り、白砂青松の松林らしき場所はなかった。 相生湾の湾奥の中央公園周辺を歩いてみた。 ![]() 歴史民俗資料館の海側に松の木らしい茂みを発見。 ![]() たしかに松の木が一本生えていた。 ![]() 逆側から撮影。 これをもって「相生の松原」というのも変だし、かといって、これ以上探しても詮無いことなので、中止した。 中央公園で発見した相生に因んだ歌 |
今日よりは法にあほひの花を見て散る露の身となるぞ楽しき | 室井清澄 |