すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


秋篠(奈良市)




秋篠とは・・・

名前からして高尚な雰囲気であるが、その地が奈良市の北西部にあると知ったのは訪問の直前のことであった。


Wikipediaや他の案内書によると、「秋篠」は
・平城京の北西の端にあった西大寺の北側に広がる地域で、
・古くから土師氏ゆかりの地で、
・古来「外山の里」と呼ばれ、霧や時雨が多い場所だったらしく、
・歌枕としても有名だったとか、
・776年、秋篠の南側に秋篠寺が創建され、
・その秋篠寺は天皇家とも関係が深く、
・また秋篠寺は西大寺とたびたび寺領を巡って争いがあり、
・その後は火事があったり大変であったが、
・今日、秋篠寺は参道から眺める苔のじゅうたんが美しい奈良の古刹として観光名所となっている。






そんな秋篠の地を訪問した。



現在の秋篠は奈良の市街地からも近いので住宅が密集しており、なかなか撮影ポイントが見つからなかった。
これは秋篠にあったため池から奈良山を望んだ風景。




秋篠川
この秋篠川は地形の変動により上流部の流域を北部にある山田川に奪われた「河川争奪地形」として国土地理院の「日本の典型地形」に認定されている。その結果、山田川に争奪された地域に降った雨水は大和川でなく、木津川を経て淀川に流れていくことになった。
地形マニアとして非常に興味深いのだが、歌枕の秋篠とは関係ない。




【秋篠寺】

秋篠寺にはいくつかの門があるが、これは南側の門。



参道。雑木林のような様相であったが、木漏れ日が美しい!



これも参道の写真



苔のじゅうたん




実際のところ、こんな苔のじゅうたんをどうやって作ったのだろうか。
米の研ぎ汁を撒いているのだろうか。



これは西門だったかな?




本堂には行かなかった。
本堂は伽藍が美しいらしい。





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こんな秋篠の地を詠んだ歌の紹介


秋しの外山の里や時雨るらむ生駒のたけに雲のかかれる 西行(新古今集)


時雨の秋篠から雲のかかる生駒山を望んだ情景を詠んだもの。
秋篠から生駒山方面を眺めてみたが、住宅が建て込んでいて、よく見えなかった。


この西行の歌と同じような構図の歌、

秋篠のみ寺をいでてかへりみる 生駒がたけにひはおちむとす 会津八一


秋篠寺に歌碑

こっちは秋篠から生駒山に日が落ちる風景。





次の歌も『生駒つながり』

ながき夜の生駒おろしや寒からむ秋篠の里に衣打つなり 藤原家隆






そんで、この歌は「秋篠」と「秋」を掛けている

旅の空 秋ぞ悲しき 秋篠の 鹿と虫とに 枕並べて 慈円(拾玉集)












京都あたりにあれば、もっとすごい観光地になってると思います。






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