すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


芥川(大阪府高槻市)






大阪のベッドタウン、高槻市を流れる芥川


新幹線の車内から芥川を激写!




次は東海道線の新快速から激写!
(ちょっとずれた)


【現地訪問】

市民憩いの場のような河川敷であった



 

伊勢物語といえば有名な「東下り」であるが、
「東下り」のきっかけとなったのが、芥川の事件(第六段 芥河)。
身分の高い女に恋をした男が、やっとのことで女を連れ出して芥川のほとりまで逃げてきたが、ちょうど雷が鳴り始めたので、女を小屋に入れて男は外を見張っていたところ、朝方になって女は鬼に食べられた、という話。

逃げる途中、女は草の上にあった露を見て「あれは何?」と問うているが、この暢気なところがとても良い。よほどの深窓の令嬢だったのだろう。
 
せっかく女を連れ出してきたのに鬼に食べられた男は悲嘆して、次の歌を詠んだ。

白玉かなにぞと人の問ひしとき露と答へて消なましものを 伊勢物語

女が露を見て「あれは真珠ですか」と尋ねてきた際、「露です」と答えるとともに自分も露のように消えたかった、という意味。

この段の内容については、政治的にいろいろあるようだが、ここでは割愛する。

ただ、女を背負って京の都から芥川まで、およそ30キロメートルも逃げてきたのはスゴいことだと素直に思う。


※この事件で男は都におりづらくなり、「東下り」した。




嵯峨本伊勢物語「芥川」

関西大学図書館


男に背負われて逃げている











高槻市にはもう一つの「伊勢」がある。

三十六歌仙のひとり、伊勢が晩年に庵を結んだのが高槻市の今の伊勢寺。
いろいろ伊勢にまつわる話が伝えられているらしい。

伊勢の歌

 はつかにも君を三島芥川あくとや人の訪れもせぬ 伊勢集


芥川は「飽く」、(高槻の隣の)三島は「見し」を掛ける










なんと前職の先輩S氏が高槻市在住で、
メタボ防止&モデル体型復活を目的に
いつも芥川に沿って散歩しているとのこと。

S氏から芥川の写真をいただきました。


芥川の上流は「摂津峡」。
景勝地として知られています。


ここまで高槻の市街地から4キロほど。
S氏は徒歩でここまで来ているとのこと。
ウォーキングの後のビールはおいしそうです。









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