すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


姉歯の松(宮城県栗原市)





昔、姉歯事件てあったよな。
耐震偽装事件。
一級建築士が構造計算書を偽装し、耐震基準を満たさないマンション等が建設されていたという事件。
衝撃的な事件であったが、それ以上に登場人物それぞれのキャラが強烈に濃いかったため、連日ワイドショーで大騒ぎになっていた。
「頭まで偽装!」というフレーズもケッサクであった。


そんな姉歯事件を起こした元一級建築士の苗字が珍しかったため、「姉歯の松」のエピソードを紹介するマスコミも多かった。また実際にその元一級建築士は宮城県北部の古川市の出身だそうで、まさに「姉歯の松」伝説の地である。アネハって、地元では一般的な苗字なのかなと。


「姉歯の松」の伝説を超かんたんに説明すると、
陸前高田の長者の娘が、采女として都に行く途中、姉歯村で死んだ。妹がやってきて、そこに松を植えた。
とまあ、こんな感じである。


たまたま姉歯で死んで、そこに松を植えたのが伝説となり、姉歯の地名が遠く都にも伝わったもの。隣の村で死んでいたら、それはそれで隣村の伝説になったのだろうか。


それはともかく宇津保物語や伊勢物語にも登場する由緒ある歌枕の地。
どんなところかなと訪問前から期待が大きくふくらんでいた。


こんなところであった。

人の家のすぐ横で、なんとも入りにくい雰囲気であった。



松はずいぶん昔に枯れてしまい、その後に植え継いだ松も枯れたとのこと。



家なのか作業場なのか分からないが、人の気配があって、なんとも気を使った。



石碑は二つ。こちらは歌碑。



こちらの石碑には姉歯の松の伝説が漢文で書かれている。



案内板。碑文の説明があった。



姉歯の松の遠景。
一般的な田舎の風景であった。




こんな姉歯の松を詠んだ歌。


栗原あねはの松の 人ならば 都のつとに いざといはましを 伊勢物語

かくはかり 年積りぬる 我れよりも 姉歯の松は 老いぬらむかし 平 祐誉

ふるさとの 人にかあらん 栗原姉歯の松の うぐいすの声 鴨 長明

栗原姉歯の松を 誘いても 都はいつと 知らぬ旅かな 藤原 秀能

以上の4つの歌は現地の歌碑に刻印



きく人は 姉歯の松の 風なれや 昔の声を 思ひいづるは 宇津保物語

陸奥の 姉歯の松は 誰ゆへに いろかへずして 世をやふるらん 古川 古松軒

都まで 君を送らん 栗原 姉歯の松に われならずして 覚網集












栗原市金成梨崎待井24






姉歯事件で不必要に有名になったと思います。






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