すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


有明山(長野県安曇野市)





昔の朝ドラ、「おひさま」(2011年前半)で安曇野の風景としてしばしば有明山は登場していたらしい。主人公の家族がリヤカーを引っ張っていたのは覚えているが、後ろの風景は印象に残っていない。


ちなみに、主人公の仲良し三人組の一人「真知子さん」は現在(2021年)同じく朝ドラ「おかえりモネ」で風呂屋のおばさん役を演じている。セーラー服が似合う女の子だったが、時間の経過は実に恐ろしい。


有明山は、北アルプスから安曇野にせり出している屋根で、まるで富士山のように見えることから、「有明富士」とか「信濃富士」と呼ばれている。標高2,268メートル。






今回、安曇野の川合神社から有明山を撮影しようとした。

中央の山であるが、雲が垂れ込めていて全くダメだった。




転載フリーのWikipediaから有明山の写真を拝借


(Wikipedia)





有明山は、ネーミングが良いので、幾人かの歌人に詠まれている。


かたしきの衣手寒く時雨つつ 有明山にかかるむらくも 後鳥羽院


てりかはる紅葉をみねの光にて まつ月細き有明の山 藤原定家


信濃なる有明山を西に見て 心細野の道を行くなり 西行


西行は実際に有明山を見て詠んだのだろう。
詠んだ場所は細野。安曇野にある地名で、ここから有明山は西の方向にある。心細野と上手くダジャレを仕込んでいる。











さて有明山の山名の由来は、天照大神が岩戸にこもった際に、天手力男命が投げた岩戸が有明山に落ち止まり、それ以降天下が明るくなったという伝説が元となっている。


この伝説をもとに詠んだ歌


久方の天の岩戸のあけしより くもいにのこるありあけの山 香川景樹












善光寺道名所図会「高瀬川の渡り瀬より有明山を眺望の図」 (早稲田大学図書館)














安曇野(あずみの)って素晴らしい名前だと思いますが、
新興ニュータウンにありそうな地名です。






copyright(C)2012 すさまじきもの〜「歌枕」ゆかりの地☆探訪〜 all rights reserved.