すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


在原神社(奈良県天理市)

伊勢物語の聖地、在原神社の井筒を見学しに奈良県天理市へ行った。西名阪自動車道の天理出口をおりてすぐのところ。普通の地元の公園といった光景。この中に、古びたトタン屋根の下にあるのが、かの有名な伊勢物語の「筒井筒」の井戸である。
この井戸の周りで幼いころの在原業平と紀有常女が背の高さを測ったりして遊んでいた、ここは正にその現場ということ。



ジャーン!
これが筒井筒!


むかし、田舎わたらひしける人の子ども、井のもとにいでてあそびけるを、おとなになりければ、男も女も恥ぢかはしてありけれど、男はこの女をこそ得めと思ふ。女はこの男をと思ひつつ、親のあはすれども聞かでなむありける。さて、この隣の男のもとよりかくなむ。


筒井つの 井筒にかけし まろがたけ 過ぎにけらしな 妹見ざるまに

女、返し、

くらべこし ふりわけ髪も 肩過ぎぬ 君ならずして たれかあぐべき

さて年ごろふるほどに、女、親なくたよりなくなるままに、もろともにいふかひなくてあらむやはとて、河内の国高安の郡に行き通ふ所いできにけり。されけれど、このもとの女、あしと思へるけしきもなくて、いだしやりければ、男、こと心ありてかかるにやあらむと思ひ疑ひて、前栽の中に隠れゐて、河内へいぬる顔にて見れば、この女、いとようけさうじて、うちながめて、

風吹けば 沖つしら浪 たつた山 よはにや君が ひとりこゆらむ











幼なじみの男女が結婚したが、そのあと女は男の浮気に悩まされる。けれども女は健気にも浮気しに出掛けて行く男の道中の安全を祈っている。
謡曲「井筒」では、シテの女は夫を想って井筒のそばで舞(序の舞)を舞う。さいご、井戸を覗くと水面に在りし日の夫の面影が映っていた。
作者の世阿弥が最高傑作であると自賛していたらしい。




在原神社。
在原業平とその父の阿保親王を祀っている。



こんな感じ。



中央が井筒、左が便所。



公園のようなかんじでベンチもある。さすがに遊具はなかった。

 
 
「井筒の女」「在原業平の妻を祀る」との手書きの説明書きがあった。

       
       
   「夫婦竹」「業平竹ともいう」との説明書きがあった。













公園のようなところでしたが、なんとも満足感ありました。






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