すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


城沼(しろぬま)(群馬県館山市)









 たずね来しわが故郷の
  浅茅沼
 月夜になくは
        雁ばかりかな


かう私は昔詠んだ。實際、水鳥の多い沼であった。雁、鴨、鷺、水鳥、沼はいつもその饒舌と羽音とで満たされてゐる位であった。そのあれはてた淺茅沼の岸に()のやうな赤い躑躅(つつじ)の色彩、それが私に何とも言へないロマンチックな感じを起こさせたものであった。

「一日の行楽」―館林の躑躅より―



田山花袋文学碑
(館山市つつじが岡公園に建立)





「浅茅沼」は、館林市にある「城沼」のこと。

『浅茅』、丈の低い茅の生えている、荒涼とした沼として田山花袋なりに表現したもの。

ただし、岸辺に咲く躑躅(つつじ)の花は絵のようにきれいであったと田山花袋も作中で言及しているが、館林城の歴代城主が躑躅を手厚く育成し、江戸時代の絵図にも躑躅の名所として案内されていたそうだ。

田山花袋は館山藩士の子として館林に生まれた。城沼の畔に田山花袋旧宅跡が保存されており、田山花袋文学記念館もある。












■ 2024年8月盆休み、現地訪問


ツツジの季節が終わり、公園は閑散としていた





ツツジの時期は、館林市内が渋滞する程に混み合うらしい




これが城沼


城沼は、その名の通り昔は館山城の外堀の役目をしていた


繁忙期にはボートも浮かぶようだが、訪問したときはボートにシートが被せられていた





Wikipediaの「つつじが岡公園」のページの写真を転載する













全く人がいなくて、さみしい限りでした





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