すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


朝妻(奈良県御所市)

朝妻って、「伊吹おろしの朝妻舟」で、近江の国のことと思っていた。
ところが大和の国、金剛山の山麓に万葉ゆかりの地としての朝妻があると知り、ある冬の日に訪ねてみた。



金剛山にいい感じに霧が立っている。



朝妻の集落@



朝妻の集落A


いやはや、白洲正子が喜びそうな「隠れ里」というか山麓の集落であった。この集落には人が住んでいないのかと思うぐらい人気がなかった。ただしハイキングを楽しむ人とは時折出会った。



朝妻の案内板があった。ここを目指して来る人がいるのかな。




今朝行きて 明日には来ねと 言ひし子を 朝妻山に 霞たなびく 柿本人麻呂(万葉集)
「今朝は帰って、夕方また来て」といったあの子。
(外に出ると)朝妻山に霞が棚引いていたよ。



子らが名に 懸けのよろしき 朝妻の片山崖(かたやまきし)に 霞たなびく 柿本人麻呂(万葉集)
その子の名にふさわしい朝妻の、その山際に霞が棚引いているよ。




この万葉集の歌をみるかぎり、「朝妻」には霞が棚引いているのが風情ある様子。
当地を訪問した日は雨のち曇りで、山には霧が立ち上り、ベストショットが撮れないと嘆いていたのだが、これはこれで良かったのか。


       

 








古代の葛城氏の本拠地がこの近くにあるなど、
由緒有りげな場所でした。





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