すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


湊宮(京都府京丹後市)






神風や朝日の宮の宮移し 影長閑なる代にこそ有けれ 源実朝(玉葉和歌集)



大阪から京丹後市の久美浜までは冬季に直通バスが通っていて、カニ目当ての旅行客を運んでいる。その久美浜に今回の目的地である蛭児神社がある。

蛭児神社・・・京丹後市久美浜町湊宮1662

今回、小ネタのつもりで現地訪問したが、社頭の案内板を見て、ゆめゆめ等閑視などできないと思った。



それによると、この蛭児神社は元々「日留居(ひるこ)大明神」と称し、近くの四神ヶ嶽に奉斎されていたものを、鎌倉時代に勅諚があり将軍右大臣源実朝がこの地に移したとのこと。

情報化社会の現在でも京丹後市の久美浜に蛭児神社があることを知っている人はほとんどいないはずであるが、鎌倉時代の時の将軍がこんな田舎の神社の移転に関わっていたというのは実に驚きである。

しかもなお、この神社の遷宮に際し、源実朝は冒頭の歌を寄せている。「朝日の宮」とは当社のことである。この歌は当時の勅撰集である玉葉和歌集に採録されたというから大したものである。


そんな、この地域としては異例の厚遇を受けたにもかかわらず、現在の蛭児神社は田舎の鎮守社程度の佇まいであった。



こんなかんじ


社頭、鳥居
「日留居」が転じて「蛭児(ひるこ)」神社となった



拝殿



本殿と拝殿をつなぐ幣殿はガラスで囲われていた。冬の強風対策か



反対側













久美浜から小天橋の水道の対岸にある山が蛭児神社の遷座元である四神ヶ嶽で日村岳ともいう
多分、船の上から詠んだ歌


舟路ゆく別れ思へばぬれ衣の かわきもやらぬ日村岳野辺 玄旨法印(天正日記)














さらっとこのページを作りました






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