すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


浅間山(長野県軽井沢町)





子供の頃、学校で火山の分類として、活火山、休火山、死火山の三つを教えられた。
私はその世代である。
今でも富士山は死火山だと思っている。

ところが、その後に科学が発展し、現在では活火山と「活火山以外のもの」の二つに分類されるらしい。

浅間山は最近(2019年)も噴火しているので活火山だろう。

浅間山は、信濃国と上野国の国境にある山だが、古典文学の世界では信濃国の歌枕となっている。

古来、火山の噴煙を燃える思いに例えたり、浅間山から「あさましい」を導いたりする歌が詠まれている。








【浅間山を詠んだ歌】


信濃なる浅間の嶽に立つけぶりをちこち人の見やはとがめぬ 伊勢物語


雲はれぬ浅間の山あさまし人の心を見てこそ止まめ 古今和歌集


いつとてかわが恋やまむちはやふる浅間の嶽たゆとも 拾遺和歌集


雲はれぬ浅間の嶽も秋来ればをわけて紅葉しにけり 源俊頼


いつとなく思ひに燃ゆる我が身かな浅間けぶりしめる世もなく 西行


いたづらに立つや浅間の夕けぶり里とひかぬるをちこちの山 藤原雅経(新古今和歌集)


あさましや浅間の嶽に立つたえぬおもひを知るひともなし 藤原定家


信濃なる浅間の山燃ゆなれば富士のかひやなからん 後選和歌集


わするなよあさまのたけのけぶりにも としへてきえぬおもひありとは 新勅撰集


信濃や見つつわがこし浅間山雲はのよそめなりけり 宗良親王(新葉和歌集)


吹き飛ばす 石も浅間の 野分哉 松尾芭蕉


北信濃にとはに立つ浅間山秋の蒼ぞらにけぶりなづめり 伊藤左千夫


暮れ行けば浅間も見えず歌哀し佐久の草笛歌哀し 島崎藤村(千曲川旅情の歌)


冬の浅間は胸を張れよと父のごと 加藤楸邨











【浅間山眺望】



佐久市小田井の史跡、皎月原(こうげつはら)の前の道路から見た浅間山
頂上に雲がかかる



佐久市岩村田の史跡、相生の松から望む
やはり頂上に雲がかかっている



東御市御牧原の史跡、望月の牧から浅間山遠景
どうしても雲がかかっていたのだが、



少し時間が経つと頂上(らしいの)が見えた







木曽路名所図絵「浅間嶽」 (木曽路名所図絵)

噴煙が上がっている








善光寺道名所図絵「浅間嶽」 (早稲田大学図書館)

これも








木曽海道六十九次「追分宿」 (Wikipedia)

これは噴煙が上がってない時期に描かれたのだろう










小諸市を舞台に制作されたアニメ「あの夏で待ってる」のポスター
背景の山は浅間山なのか、どうなのか



















中学校の修学旅行は鬼押出しでした







copyright(C)2012 すさまじきもの〜「歌枕」ゆかりの地☆探訪〜 all rights reserved.