すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
2025年夏、北関東の歌枕を巡る旅に出た。 一日目の車中泊を含めて四泊五日の旅程であった。
能市の万葉故地、飯能市の「阿須」が長い旅行の最終目的地であった。 ビジネスホテルに泊まったが、毎晩一人宴会で飲み過ぎたこともあり、最終日は疲労困憊であった。 台風接近の中でなんとか無事に最終行程まで行き着いたことで感慨も一入であった。 インターネットの情報によると、「あず」は崩れそうな崖のことらしい。 入間川が丘陵にぶつかって、流れが丘陵を削り、崩れそうな崖をつくっている。 万葉集では、その危険な崖をもって、愛の歌を詠み上げている。 |
あずへから駒の |
万葉集 | |
崩れた崖のほとりを駒が行くように危険だとしても、 人妻であるあの子をまばゆく思うよ(奈良県立万葉文化館) |
あずの上に駒を |
万葉集 | |
崩れた崖の上に駒をつないで、危いながら、 人妻であるあの子を、わが命とするよ (奈良県立万葉文化館) |
(副碑の内容) 万葉集の東歌二首に歌われている安受(阿須)は後方の崖である。前方に入間川、また遠く山並みを望む景勝の地である。万葉の詩心が永く受け継がれることを願い、ここに歌碑を建立した。 |
【現地訪問】![]() 阿須運動公園に行った ![]() 入間川、台風で増水していた ![]() そしてこれが「あず」、崩れそうな崖が現在も存在していた ![]() 国土地理院の地図、「あず」は公園の南側の崖のこと 往古は入間川が崖を削りながら流れていたのであろう |