すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


阿須(あず)(埼玉県能市)








2025年夏、北関東の歌枕を巡る旅に出た。

一日目の車中泊を含めて四泊五日の旅程であった。

一日目 午後に大阪を出発
名阪道、中央道経由で軽井沢へ 
長野県佐久市で
車中泊
二日目 大雨の中、朝5時に軽井沢町の追分宿に
到着。碓氷峠から群馬県に入り、伊香保温
泉を中心とした群馬県北部の歌枕を訪問 
伊勢崎市で宿泊 
三日目 伊勢崎から東へ向かい、栃木県の室の八島
まで足を伸ばす。その後は群馬県南部のマ
イナー歌枕を巡検
伊勢崎市で宿泊
四日目 埼玉県秩父市から荒川沿いに東に向かって
深谷市、熊谷市、行田市を巡り、西に転じ
て越生町に至る
東松山市で宿泊
五日目 台風接近の中、川越市へ向かったが、大雨
のため訪問先が休館するなど予定が大きく
狂ったが、なんとか夕方に飯能市に到着 
東名高速、名阪
道を通って夜中
に帰阪 




能市の万葉故地、飯能市の「阿須」が長い旅行の最終目的地であった。

ビジネスホテルに泊まったが、毎晩一人宴会で飲み過ぎたこともあり、最終日は疲労困憊であった。

台風接近の中でなんとか無事に最終行程まで行き着いたことで感慨も一入であった。














インターネットの情報によると、「あず」は崩れそうな崖のことらしい。

入間川が丘陵にぶつかって、流れが丘陵を削り、崩れそうな崖をつくっている。

万葉集では、その危険な崖をもって、愛の歌を詠み上げている。


あずへから駒の()ごのす(あや)はとも人妻児(ひとづまこ)ろをまゆかせらふも 万葉集
崩れた崖のほとりを駒が行くように危険だとしても、
人妻であるあの子をまばゆく思うよ(奈良県立万葉文化館) 
 


あずの上に駒を(つな)ぎて(あや)ほかと人妻児(ひとづまこ)ろを(いき)()がする 万葉集
崩れた崖の上に駒をつないで、危いながら、
人妻であるあの子を、わが命とするよ 
 (奈良県立万葉文化館) 


阿須運動公園テニスコート南側に歌碑


歌碑の傍らに副碑

(副碑の内容)
万葉集の東歌二首に歌われている安受(阿須)は後方の崖である。前方に入間川、また遠く山並みを望む景勝の地である。万葉の詩心が永く受け継がれることを願い、ここに歌碑を建立した。







【現地訪問】



阿須運動公園に行った



入間川、台風で増水していた



そしてこれが「あず」、崩れそうな崖が現在も存在していた



国土地理院の地図、「あず」は公園の南側の崖のこと
往古は入間川が崖を削りながら流れていたのであろう











来年は茨城県と千葉県に行こうかな





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