すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


足羽(あすは)の原(福井県福井市)








もともと「あすは」は神様の名前で、宮中に祀られていた坐摩神(いかすりのかみ)の五柱社のうちの一つとして、建設工事の足場の神と伝えられている。

古代、継体天皇が即位する前、男大迹王(ヲホドノオウ)皇子であったころ、大和国への旅に出る前に越前平野でしばらく滞在されていた。

当時の越前平野は九頭竜川と日野川、足羽川が流れ込み大きな沼地になっていたが、継体天皇は治水工事を行い三国に水門を開き、干拓地を拡げた。その際、朝廷から坐摩神(いかすりのかみ)を勧請して安全を祈願した。

その後、現在の足羽山に継体天皇と坐摩神をご祭神とする足羽神社が創建され、現在まで越前国の発展
の守護神として、地元住民の崇敬を集めている。



以上のとおり、足羽神社は継体天皇と深く関わっており、それはそれで大変興味深いが、今回、歌枕として紹介する歌は、古代からずっと下った南北朝時代の、南朝の公家武将である北畠親房が詠んだ歌。


(こふ)れどもあすはの原に咲く萩の花と散りなん名こそ惜しけれ 北畠親房


足羽の一帯は南北朝の戦場であった。
「あすは」と「明日」を掛けている。









■ 現地、足羽神社へ訪問



拝殿、式内社の風格がある



福井市の天然記念物、しだれ桜。地元民の間で有名らしい
訪問したのが11月で、葉っぱが全て散ったあとだった



これが開花した「しだれ桜」
(写真は福井市観光公式サイト「福いろ」の『足羽神社』のページから拝借)



木々の間から福井駅前方面を眺望、昔の「足羽の原」だろう



「足羽宮之碑」
 文政13年(1830年)、継体天皇崩御1300年を記念して建立
台座のところが亀になっている



開通した北陸新幹線から足羽山を望む。足羽山の山頂に足羽神社が鎮座。足羽山の周辺が「足羽の原」












以前、ブラタモリで福井市の笏谷石の採石所跡を訪ねていましたが、
場所は足羽山の山麓にあります





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