すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
「秩父」は想像以上の観光地であった。 私のような大阪人にとって「秩父」とは、単なる埼玉の一地方名でしかなく、セメントの産地で、西武秩父線と特急「ちちぶ」ぐらいしか思い浮かばないのだが、実際に秩父に行ってみて、歴史の奥行きの深さというか、カテゴリーの広さというか、観光地としての魅力の尽きない、実に存在感のある街であることが分かった。 盆休みに訪問したが、観光客でいっぱいであった。東京からは手軽に行ける観光地なのだろう。 なにも考えずに訪問計画を立てたが、秩父神社には満足したものの、 ■ 秩父神社 秩父地方の総鎮守。 三峯神社・宝登山神社とともに秩父三社の一社。 12月の例祭「秩父夜祭」で知られる。ユネスコ無形文化遺産に登録。京都の祇園祭、飛騨の高山祭とともに日本三大曳山祭とされる。 ![]() 大鳥居 ![]() 拝殿 ![]() 社殿は徳川家康による造営 ![]() 欄間の彫刻が見事である。名工・左甚五郎の作と伝わっている ![]() 本殿・幣殿・拝殿が1つにまとめられた権現造の形式 背後の鎮守の杜を「 |
兄の社はこのかみの名か | 藤原清輔 | 兎久波集 |
秩父山柞の杜に言問はん | 童 |
この連歌、いくら考えても意味が分からない。 父(秩父山)と母(柞の杜)に並べて、兄(兄の社)も登場させたのだろうか。 秩父を詠んだ歌を探したが、近代以降の作詠ばかりであった。 |
秩父町出はづれ来れば機織の 唄ごえつづく古りし家並に | 若山牧水 |
さむざむと秩父の山に入りにけり 馬は恐るる山ふかみかも | 斎藤茂吉 |
三つ峰に見下す秩父奥ひろし 四方をめぐりて雲垣の山 | 中村憲吉 |
朝にゃ朝ぎり |
野口雨情 |
これよりは尚奥秩父鮎の川 | 高浜虚子 |