すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


千屋(岡山県新見市)






秋風になびくや千屋野の花すすき 穂に出て見ゆる君がよろず代 藤原為政(大嘗会和歌集)
秋風になびいているよ千屋野のすすきが――。すっかり美事に揃うて伸びて
穂となって、さながら大君の千代八千代を祝いかつ象徴しているようだ。
(おかやまの和歌/岡山県郷土文化財団) 




君が代の千屋野の草の一かたに なびくや民の心なるらむ 藤原経衡(大嘗会和歌集)
千屋野の草が一方になびいているさまは、そっくりそのまま一般国民の
心情をあらわしているかのようであるよ。

(おかやまの和歌/岡山県郷土文化財団) 



え〜と、
岡山県新見市の千屋も大嘗会関連の歌枕の地である。
千屋の「千」が数の多さを象徴して縁起が良い地名となったのか。
草やススキが一方になびいている様は、人々が大君に心を寄せていることを表していると、詠み上げている。


今回、千屋へ訪問するにあたり、まさに「草が一方になびいている様子」を撮影しようかと、地図を見ていたところ、千屋から高梁川の下流に千屋ダムを発見。調べてみると、堤高97.5メートルの重力式コンクリートダムであることが分かった。

「草がなびいている様子」より余程魅力的だったので、急遽千屋ダムに訪問。




■千屋ダム


もともと千屋に建設される予定であったが、計画変更により場所は大幅な下流に建設されることになった。ただしダム名は「千屋ダム」のまま。



岡山県が管理する多目的ダム。
1998年竣工なので、比較的新しいダムである。



オリフィスゲートの上にある展望台の三角屋根が気になった。
どうしてピンク色の三角屋根にしたのだろうか。色も形もおかしい。











※ 備中名所考「千屋野」(新日本古典籍総合データベース)

この挿図にもちゃんとススキが描かれている













巨大な建造物が好きです






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