すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


醍醐寺(京都市伏見区)







西国三十三か所の第十一番の札所。

この札所巡りを夫婦で始めて何年になるのだろう。

最初の那智の青岸渡寺をスタートしたのは、2010年のことだった。

2019年夏の時点でまだ八番の長谷寺で止まっている。

けれど、とりあえず夫婦で行くことになっている寺に先に一人で行くことはできないため、今回は入り口で写真だけ撮ってきた。




総門。




この総門から、先は上醍醐まで道が続いている(らしい)。



「史跡醍醐寺境内」の碑




醍醐寺といえば、秀吉晩年の「醍醐の花見」。
そのとき詠まれた和歌は短冊として桜の枝に結び付けられた。
それらは「醍醐花見短冊帖」として三宝院に保管されているらしい。


あらためて名を替えてみむ深雪山 うずもる花もあらわれにけり 豊臣秀吉(醍醐花見短冊帖)
深雪山 帰るさ惜しき 今日の雪 花のおもかげ いつか忘れん
恋恋て 今日しぞみゆき 花盛り ながめにあかじ 幾年の春


ともなひて ながめにあかじ 深雪山 帰るさ惜しき 花のおもかげ 北政所(醍醐花見短冊帖)
君が代の みゆきの桜 咲きそひて 幾千代かけて ながめあかさむ


花もまた君のためにと咲き出でて世にならびなき春にあふらし 淀君(醍醐花見短冊帖)
あひおひの松も桜も八千代へん 君がみゆきのけふをはじめに
白妙の袖にまがへて暮れぬとも帰るさ知らでながめあかさむ


さきつゞくわか枝の花も今年より にほひは代々の春につきせじ 前田利家(醍醐花見短冊帖)
あひをひの松にさくらの咲そひて みゆきの山に千世をかさねん




スタートは豊臣秀吉。桜満開の醍醐山は、まるで雪が深く積もっているようだから、「深雪山」という名前に変えよう、という意味。
これを受けて、他の人も「深雪山」を詠み込んだ歌を披露している。中には「御幸(みゆき)=お出まし」に掛けている歌もある。
なお「深雪山」は醍醐寺の山号となっている。












その他、醍醐寺で開催された歌合で詠まれた歌



醍醐の清滝の社に歌合しはべりける時詠める
降る雪に軒端の竹も埋もれて友こそなけれ冬の山里 千載和歌集


「清瀧の社」は現在も醍醐寺にある。











都名所図会の「下醍醐」

(国際日本文化研究センター)











私の周りでは西国札所巡りが流行っています。






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