すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


大根島(島根県松江市)





軽自動車のCMで有名になった「ベタ踏み坂」
アクセル全開、つまりベタ踏みでないと登れないぐらい急勾配の坂道であるとし、一躍有名になった。

正式名は江島大橋。鳥取県境港市と島根県松江市の江島を、中海をまたいで結んでいるPCラーメン橋。5千トン級の船が通航できるよう、高さは約45メートルに達している。

橋フリークの私としては、是非とも訪れたい橋として長年訪問のチャンスを窺っていた。2020年夏休み、新型コロナウィルスの猛威がふるう中、山陰方面への一人旅を敢行。念願のベタ踏み坂を走破してきた。





※転載フリーの写真


Wikipedia「江島大橋」より



しまね観光ナビ「江島大橋(ベタ踏み坂)」より






そしてこれは私がiPhoneで撮った写真








多くの見学客がいた。
手前のファミリーマートの前から望遠レンズで撮ったらいいようだ。




グーグルアースの江島大橋













え〜と、このページは中海にある江島ではなく、その西隣の大根島の歌枕についてのページである。
ついつい江島大橋に興味が行ったので、大根島は後回しになった。
とは言え、どうも大根島は、一番の魅力が「大根島」というネーミングかなと思うぐらい、凡庸な島のようだ。
島根県の観光を紹介するサイト、「しまね観光ナビ」では大根島の見どころは牡丹と高麗人参の栽培という。どちらも地味である。


そんな大根島と江島の位置関係


現地にあった案内板
左が大根島、右が江島で、江島大橋は右上の赤い丸のところで、鳥取県の境港市と結んでいる。



案内板の左下の青い丸で囲んだ地点から大根島を望む。
島の標高は殆ど25メートル以下とのことで、写真ではよく見えない。







そんな大根島の古称は栲島(たくしま)。
栲島を詠んだ歌を紹介する。



乙女らが()(はた)の上を真櫛(まくし)もてかかげ栲島(たくしま)波の間ゆ見ゆ 万葉集
少女らが布を織る織機の上の糸を櫛を使って()く(掻き上げる)という、
その綰くと同じ名の栲島が波間から見える
訳:「歌人が巡る中国の歌枕 山陰の部」

「たく」と「たく島」を掛けている。






むかしよりたくひの島たかぬ火を 木なしの里に何をたくらん 後醍醐天皇

「たくひの島」は(たく)島のこと。「木なしの里」は夜見ヶ浜。
後醍醐天皇が隠岐の島へ流される際、安来から中海を通航の途上、夜見ヶ浜のおびただしい火を見て詠んだもの。






あまが家にすくもたく島ほのみえて 夕月くらし波のうき雰 本居内遠(出雲国名所歌集)

本居内遠は紀州藩士、本居太平の養子














大根島は車で通過しただけです






copyright(C)2012 すさまじきもの〜「歌枕」ゆかりの地☆探訪〜 all rights reserved.