すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


愛知川(滋賀県愛荘町)








広重、木曽街道六十九次 「恵智川」 (Wikipedia)




愛知川は、鈴鹿山脈に源を発する茶屋川と神崎川が東近江市永源寺町で合流した川で、平地に出てからは巨大な扇状地を形成し、東近江市では天井川となりながらも、湖東平野と呼ばれる県内随一の穀倉地帯に水を供給している。最後、琵琶湖に注ぐ、一級河川。



愛知川を詠んだ歌


愛知川に岩越す棹の取りも敢えず (おろ)(いかだ)逸早(いちはや)の世や 源俊頼(散木奇歌集)


意味は、筏までが序詞で、時の経つのは早い、ということかな? 

この歌を見る限り、岩がむき出しになっている愛知川の上流の辺りのイメージで詠んでいる。










■ 現地訪問


愛知川の中下流域である東海道新幹線、近江鉄道の鉄橋付近の様子


近江鉄道の愛知川橋梁
撮影のタイミングでちょうど電車が通過するのは珍しい



東海道新幹線はひっきりなしに通過していた



ちょうどここに中山道の橋が架かっていたとのこと



この中山道の橋は無料で渡れたので「無賃橋」と呼ばれていた。
江戸時代、町人の成宮家ら民間人が慈善事業として架橋したもの。
上掲の広重の浮世絵に描かれた橋が無賃橋。


そんな無賃橋を詠んだ歌が成宮家に伝わっている。

旅人をあはれみかけてむちんばし 深き心を流す衛知川 西園寺藤原実丈



愛知川右岸、みゆき公園に「むちんばし跡」の石碑













愛知川の流域は愛知郡である
愛知の(こほり)を詠んだ歌


うらやみにえちの郡の稲を()べて神と君とに()初穂(はつほ)かな 夫木和歌抄













昔、愛知川を「あいちがわ」と発音し、恥をかきました





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