すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


恵蘇桜(三重県亀山市)




結局、恵蘇桜にはたどりつかなかった、という話。


「東海道名所図絵」に

恵 蘇 桜
宿中民家の前栽(庭先)にあり。むかしの街道筋にして、岨(そば)を通りしなり。この近隣井口氏の家に恵蘇桜という名酒を商う。蝦夷は謬りならん。

とあり、次の歌が紹介されている。

蝦夷過ぎぬ これや鈴鹿ならん ふりすてがたき 花のかげかな 藤原定家(新後撰集)



そして「関 地蔵院」の挿絵を見てみると、


関 地蔵院の並びに恵蘇桜が描かれていた。




定家も感嘆したという恵蘇桜を一目見ばやと、この絵の位置関係を頭に入れて、現地を訪問した。



これが関 地蔵院。宿場町のど真ん中にあった。


で、名所図会の絵を手掛かりにいろいろ歩きまわったが、結局どこにあるのか分からなかった。
仕方がないので、地蔵院の境内にある桜の写真を撮ってきた。










8月だったので、当然の葉桜。
多分、桜の咲くころに来たら素晴らしいのだろうが、恵蘇桜はもうないのかな?







恵蘇桜はもう枯れてしまったのかな、と思っていたのだが、
帰宅後にインターネットで調べたところ、地蔵院の裏手の山に二代目の恵蘇桜が育っており、入園料を払えば案内してくれるとの情報があった。しかも恵蘇桜の横には上記歌の歌碑があるという。

「東海道の昔の話」参照
http://www.shimin-kyodo.sakura.ne.jp/bungei/aichikogan/tokaido22.htm













インターネットで調べたところ、恵蘇桜の場所はマニアには結構知られてました。




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