すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


藤枝(静岡県藤枝市)





私は関西在住で、静岡県とはほとんど何の縁もないのだが、都市名はたいがい知っている。けれども特に浜松と静岡の間にある各都市についての位置関係がよく分からない。
磐田市、袋井市、掛川市、菊川市、島田市、藤枝市。先日、旧東海道を歩いた時にこれらの宿場町を通ったのだが、今思い返してみても、どこがどうだったのか頭の中が大混乱してしまう。どこも同じような印象であった。

大阪南部でいうと、和泉市、泉大津市、泉佐野市、泉南市、泉南郡、阪南市のそれぞれの区別を他県の人ができないのと同じだろうか。









今回紹介するのは藤枝。
旧東海道の宿場町、で田中城の城下町。
JRの藤枝駅からは3キロほど離れている。
現在では宿場町は商店街になっているが、それが2キロも続いていて、往時を偲ばせる。


旧東海道の藤枝宿場町。現在の様子。



こんなかんじの商店街が2キロも続く。



人はまばらであった。



現地にあった宿場町のイメージ



この交番は当時の上伝馬町の問屋場の跡で、じつは広重の浮世絵のモデルとなった場所。



宿場間の荷物を引継ぐ様子を描いている。





さて藤枝の地名の由来はなかなか興味深い。
後三年の役で源義家が奥州へ向かうときに、当地の若一王子神社(にゃくいちおうじじんじゃ)に立ち寄ったのだが、裏山の古い松の木に藤の蔓が絡まり、藤の花が盛んに咲いているのを見て、次の歌を詠んだ。

松に花咲く藤枝の 一王子 宮居ゆたかに いく千代をへん 源義家

この歌が藤枝の地名起源となったようだ。
まあ、松に藤の花が絡んでいるぐらいなら、平安時代の昔、どこにでもあった風景だと思うのだが。




その他、藤枝を詠んだ歌


春ならば花ぞ匂はむ秋とてや裏葉色づく藤枝の里 覧富士記


春をまつなげきは誰もあるものをおなじ枯葉の藤枝のさと 飛鳥井雅経



前嶋を過ぐるに波は立たねど 藤枝
市を通れば花はさきかかりたり」
前嶋の市には波の跡もなしみな藤枝のはなにかへつゝ 海道記


一番下の歌に出てくる「前嶋」という地名について、JR藤枝駅の南口に「前島」や「前島神社」という地名が残っているので、多分そこだろうと思っていた。けれども旧東海道の道筋とは離れるし、「波」がありそうでもなく、別であるように思ってきた。


藤枝市前島。JR藤枝駅の南口。



北口より開発が進んでいるらしい。



人だかりがあった。これは航空自衛隊のショーに行くためのバスを待っているもの。















いろいろと書くことを練ってましたが、
こんなかんじで終わります。






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