すさまじきもの ~歌枕探訪~


藤江浦(兵庫県明石市)




万葉故地であるが、マイナーな部類に入る。
ただし、事前の下調べによると、とても素晴らしい歌碑があるということで、期待の大きい訪問であった。



どんな歌碑なのかというと、

①海水浴場の駐車場に柿本人麻呂の等身大の像があり、台座に万葉歌が刻まれている
➁海岸に沿って整備された「浜の散歩道」に明石の歴史と伝説がモザイク画で描かれており、その中に万葉歌もある

ただの石の歌碑ではない、オリジナリティあふれた碑文に出会えることにワクワク感も高まった、のだが。。。




【松江海水浴場の駐車場】

何か問題があったのか、数年前に柿本人麻呂像は撤去されたらしい。
楽しみにしていただけに残念無念。



松江海水浴場の駐車場から見た藤江浦(西向き)



これは東向き。淡路島が見える。



南向き。一般的な海水浴場であった。




ここにあった歌碑の万葉歌


荒栲(あらたへ) 藤江の浦に 鱸(すずき)釣る 海人とか見らむ 旅行く我れを 柿本人麻呂(万葉集)






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【浜の散歩道】

なんと進入禁止となっていた。



【拡大図】警備員が立っていて、引き返すように言われた。
白い壁のところがモザイク画のあるところ。
今となっては、強引に突っ込んで、写真だけでも撮ってきたらよかったと思うのだが、実はそれほどの執念もない。


このあたりの海岸風景

東向き。淡路島方面。



藤江浦は「海人」の歌が多いので、こんな風景の方が相応しいのかも。




ここのモザイク画に描かれていた万葉歌


白栲の藤江の浦に漁りする海人とや見らむ旅行く我れを 柿本人麻呂(万葉集)








その他の歌


沖つ波 辺波(へなみ)静けみ漁(いざ)りすと藤江の浦に舟ぞ騒ける 山部赤人(万葉集)


かもめゐる藤江の浦の沖つ洲に夜舟いさよふ月のさやけさ 源顕仲


かもめゐる藤江のうらの朝ぼらけあれたる浪も心すみけり 藤原隆祐(玉葉和歌集)






万葉集のあとも、それなりに藤江浦は都の歌人たちに詠まれてきたようだ。










淡路島の島影と、穏やかな播磨灘の風景は、
今でも素晴らしいものがありました。





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