すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


藤川宿(愛知県岡崎市)






東海道の藤川宿は、江戸の日本橋から数えて37番目の宿場町。
小じんまりとした規模で、地味で、あまり特徴もない様子。
現在では、本陣跡や旅籠跡が史跡としてそれなりに整備されているが、地味で目立たず、観光地としてもうひとつ。

そんな、どうも魅力に欠ける藤川宿を、東海道を歩いた時に通過した。




藤沢宿の手前(西側)に見事な松並木があった。



「藤川の松並木」として岡崎市の天然記念物らしい。



一里塚の跡があったり、



「従是東 藤川宿」、西棒鼻跡
こんなかんじで雰囲気を盛り上げたり、



「東海道 藤川宿」碑があったり、



え〜と、これは本陣跡



本陣跡の中に入ってみると、まさに跡地であった



いかにも街道っぽい曲がり具合



昔は旅籠が並んでいたのだろう。なんとなく面影が残る。









案内板はいろいろと設置されていて、とてもよかった。




さて、藤川の「藤」は、花のフジに通じるらしく、フジの花の紫色がシンボルカラーになっていたようだ。ここでは江戸時代に「むらさき麦」が生産されたり、街道沿いの旅籠の軒先には紫色の「茹で蛸」が吊るされたりしていた。
旅人たちは藤川宿で紫色をモチーフに歌や句を詠んでいる。


ここも三河むらさき麦のかきつばた 松尾芭蕉


藤川宿の東海道街道沿いに句碑



藤川の宿棒鼻みわたせば杉のうるしとうで蛸のあし 歌川豊広
藤川宿の棒鼻を見わたすと、杉の木で造った表示が立っており、付近の店には
西浦、吉良から持ってきたうでだこを売っており、たこのあしがぶらさがっている
(現地の案内板) 


西棒鼻跡に歌碑



かはれども昔の宿のゆかりぞと紫匂ふ花藤川 浄反


ふじ川にゆかりの花なれや のふさまでにほふ 幸亭


ゆで蛸むらさき色は軒毎にぶらりとさがる藤川の宿 東海道中膝栗毛

東海道膝栗毛で北八は藤川宿でもいろいろ問題を起こす











さて、藤川宿といえば棒鼻も有名。棒鼻とは宿場町の入り口のこと。広重の浮世絵にも登場。


東海道五十三次「藤川」 Wikipediaより
これは東棒鼻を描いたもの。



現在、当時のまま再現されている
向きが違うが、雰囲気がある









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通りすがりの史跡巡りでした





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