すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


富士山(静岡県)


2014年7月、富士山見学の旅に出ました。

ところが梅雨の終盤の時期にあたり、結局一度も見れませんでした。








<こんな感じです / 各地の富士景勝地から撮影>



■「(さつ)た峠」から富士山を望む






■「浮島が原」から富士山を望む






■「千本松原」から富士山を望む






■「田子の浦」から富士山を望む

田子の浦ゆ〜
うち出でてみれば
真っ白な雲で見えませんでした。





■「三保の松原」から富士を望む

駿河なる〜
富士の高嶺も〜
まったくあきませんでした

   
      晴れていたらこんな景色です。















富士山を詠んだ代表的な歌


(その1)
田子の浦にうち出でてみれば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ 山部赤人(百人一首)





(その2)
時知らぬ 山は富士の嶺 いつとてか 鹿の子まだらに 雪の降るらむ 伊勢物語
時節を知らぬ山は富士の嶺よ、いったい今がいつということで、
鹿の子まだらに雪が降り積むのだろうか
(伊勢物語/角川ソフィア文庫)





(その3)
風になびく富士の煙の空にきえて行方も知らぬ我が思ひかな 西行(新古今集)













今回の旅行の前に、「富士山の文学」(久保田淳著)を読んでみた。
そして、富士山関係で押さえておくべき歌は上の三歌だと感じた。

キーワードは、「雪」「高嶺」「うち出でる」(山部赤人)、「時知らぬ(季節不明)」「鹿の子まだら」(伊勢物語)、「風になびく」「煙」(西行)か。













さて、私の今回の旅行のように富士山が見えなかった時の歌を集めてみた。



道すがら富士の煙もわかざりき晴るゝまもなき空のけしきに 源頼朝
曇っているので富士山の煙も見えない 


山の名はいさ白雲に埋もれていづれか富士の姿なるらん 竹斎(仮名草子)
「白雲」に「知らず」を掛けている


霧しぐれ富士を見ぬ日ぞおもしろき 松尾芭蕉(野ざらし紀行)


旧東海道の三島山中に巨大な句碑
(経緯度 : 35.150056, 138.987139 )








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 さすがに富士山はさまざまな和歌、紀行文に採り上げられており、紹介しきれないので、これぐらいにしておく。
あえて採り上げるとすれば、西行のこれ。


思ひきや富士の高嶺に一夜ねて雲の上なる月を見むとは 西行
なんとも意味ありげな内容






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実は2014年1月の東京出張の際に富士山の写真を
撮っていた。新幹線の車内から連続写真。












時速300キロの車内からの撮影!








 






実は今まで生涯で二回しかきちんとした富士山を見ていません。






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