すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


深日(大阪府岬町)


 私の妻は大阪府南部の岬町深日(ふけ)の出身で、その実家は丘の上にあり、大阪湾からの西風がまともに家にあたる。とくに冬とか夜間は恐怖すらおぼえるほどの強風であるが、じつは深日の歌枕【吹飯の浦】(ふけいのうら)には、古来、「風が吹く」意味や「夜が更ける」意味が込められているとのことで、まさにさもありなんと納得した。


岬町深日(高台から海を望む)


南海電鉄多奈川線のガーター橋(深日駅東)

時つ風吹飯の浜に出でいつつ贖ふ命は妹がためこそ 万葉集
天つ風吹飯の浦にいる鶴のなどか雲居に帰らざるべき 新古今和歌集 
あしへより汐みちくらし天つ風ふけいの浦に田鶴ぞ鳴くなる 順徳天皇

この日は冬の寒い日でしたが、「時つ風」も「天つ風」も吹いていなかった。
もちろん鶴も飛んでいなかった。




沖の方では「沖つ風」が吹いていたかも知れない。
月きよみ千鳥なくなり沖つ風吹飯浦の明方のそら 新勅撰和歌集





万葉集「時つ風吹飯の浜〜」の歌碑
岬中学校から海岸へ出たところに歌碑



その横にあった説明板






和泉名所図会の「吹飯の浦」
(早稲田大学図書館)







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深日港で釣りをしました。



昔は淡路島に向うフェリーの発着場でしたが、
いまは廃止され、閑散としています。










不便なところで、年々町がゴーストタウン化してます。





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