すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


布勢の海(富山県氷見市)








これは現地にあった案内図で、平安時代の布施の海の様子。
往古は風光明媚な潟湖が広がっていたが、その後に土地の隆起や川の土砂の堆積、そして近世以降の干拓事業によって次第に湖面が縮小していき、現在では十二町潟水郷公園に一部が残るのみとなっている。


これが布施の海の現在の姿。十二町潟水郷公園にて。



直径1〜2メートルの葉をつけるオニバス(蓮)が自生していて、天然記念物になっているらしいが、どれなのか分からなかった。



大友家持たちは潟湖の水路を舟で回って遊覧したらしいが、この状態では舟は通ることができない。



ハスなのか、他の水草なのか分からない。
真夏に訪問したにもかかわらず、ハスの花が咲いていないので、おそらくハスではないのだろう。



「萬葉布勢水海之跡」碑
手前の副碑に万葉歌が刻印






布勢の海を詠んだ万葉歌


明日の日の 布勢の浦廻の 藤波に けだし来鳴かず 散らしてむかも 大伴家持(万葉集)
 明日眺めようという布勢の海 べの波のように咲き匂う藤の花に、
ほととぎすが来て鳴かな いで、せっかくの花をむなしく散らして
しまうのではなかろうか と気がかりです (布勢神社境内案内板)


もののふの 八十伴の男の 思ふどち 心遣らむと 馬並めて うちくちぶりの 白波の 荒磯に寄する 渋谿の 崎た廻り 麻都太江の 長浜過ぎて 宇奈比川 清き瀬ごとに 鵜川立ち か行きかく行き 見つれども そこも飽かにと 布勢の海に 舟浮け据ゑて 沖辺漕ぎ 辺に漕ぎ見れば 渚には あぢ群騒き 島みには 木末花咲き ここばくも 見のさやけきか 玉櫛笥 二上山に 延ふ蔦の 行きは別れず あり通ひ いや年のはに 思ふどち かくし遊ばむ 今も見るごと 大伴家持(万葉集)


ふせの海の 沖つ白波 あり通ひ いや年のはに 見つつしのはむ 大伴家持(万葉集)
 布勢の水海の沖に立ちさわぐ白波の美しい景色を、 こうしていつも
通ってきて、毎年眺めることとしよう (布勢神社境内案内板)


いかにある 布勢の浦そも ここだくに 君が見せむと 我を留むる 田辺福麻呂(万葉集)














布勢の海って力士の名前になかったかな?






copyright(C)2012 ゆかりの地☆探訪 〜すさまじきもの〜 all rights reserved.