すさまじきもの 〜歌枕探訪〜



衾道(奈良県天理市)




奈良県天理市に聳える竜王山、万葉時代は「引手の山」と呼ばれたが、当時、引手の山の西麓は死人を葬る場所であった。
柿本人麻呂も妻を亡くした時に、この山辺に遺体を葬るためにやってきて、悲壮な葬送歌を遺している。


衾道引手の山に妹を置きて 山路を行けば生けりともなし 柿本人麻呂(万葉集)
(私訳)愛する人を残して引手の山から衾道を帰ってくると、
生きてる心地もしない。 


山辺の道沿いに歌碑


この歌に言う「衾道」とは、手白香皇女の衾田陵へ続く道であろうとされている。
前に山辺の道を歩いた時にはよく分からないままに通り過ぎたので、今回は車で訪問し、だいたいの目算を立ててアプローチしてみた。


いきなり発見。

車で入れそうにない住宅街の中に無理やり入っていき、山辺の道沿いにこの標識を見つけた。

この標識の指す方向

この先に衾田陵がある。
けれども車では入れそうにないので、ここでUターンして帰った。

とにかく、この道が「衾道」であって、柿本人麻呂が死んだ妻の野辺送りのあとに生きる元気もなくなって帰ってきたのがこの道である。
現在ではこんな情景になっている。












ずっと気になっていましたので再訪できてホッとしてます。




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