すさまじきもの ~歌枕探訪~


祇王寺(京都市右京区)










平家物語のなかで「祇王の事」はお気に入りの段である。
この段の主役は祇王であり、そのライバルは仏御前。平清盛はわき役として登場するが、いかにも根性の悪そうな権力者として描かれている。

ストーリーとしては、
■祇王は人気の白拍子として平清盛の寵愛を受けていた。
■けれども突然訪ねてきた白拍子の仏御前へ清盛の心が移り、祇王は家族ともども清盛のもとから放逐された。
■その後、仏御前がさみしがっているので慰めに参れと清盛から請われ、清盛邸へ赴いたところ、またもや恥をかかされた。
■ついに、世を悲嘆した祇王と、妹の妓女、母親の刀自の三人は出家して、都のはずれ嵯峨野の山里に庵を結び、日々念仏を唱える生活を送るようになった。
■ある夜の事、三人が念仏を唱えていたところ、竹の編戸をたたく音がした。おそるおそる竹の編戸を開けたところ、そこにいたのは出家した仏御前であった。
 ・・・云々



この「祇王の事」に収録されている歌(今様)

①祇王が清盛邸から追われるときに障子に書き付けた一首

萌え出づるも枯るるも同じ野辺の草いづれか秋にあはではつべき 祇王(平家物語)


祇王寺の境内に歌碑



➁祇王が仏御前を慰めるために呼ばれ、平家一門の前で披露した今様

仏も昔は凡夫なり
我らも終には仏なり
いずれも仏性具せる身を 
へだつるのみこそ悲しけれ
祇王(平家物語)


そしてクライマックスは、
 四人一所にこもりゐて、朝冬仏前に花香を供へ、余念なく願ひければ、遅速こそありけれ、四人の尼ども、皆往生の素懐をとげけるとぞ聞こえし。(平家物語「祇王の事」)
と、念仏三昧の生活を送った四人はめでたく往生の本願を遂げたという。

いやはや、なんともめでたい話である。











祇王寺に訪問


入口。ここから左手の石段を上っていく。



<祇王寺の中庭の連続写真>










いや~、本当に素晴らしい!
訪問したのは10月中旬。祇王寺のホームページには紅葉の時期の写真が掲載されているが、それを見ると、いつか11月の紅葉シーズンに再訪したいと思った。



境内には「祇王寺の苔」が展示されていた。




これが草庵。



もちろん竹の編戸ではではなくなっている。



境内には祇王、妓女、刀自の墓と、清盛の供養塔があった。



祇王ではなく「妓女桜」。葉は散っていた。





お待ちかね、都名所図会

早稲田大学図書館

「往生院三宝寺」の頁、
真ん中、右の大きな建物が祇王寺













平家物語フリークの聖地です





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