すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
御所神社(福岡県北九州市)
安徳天皇を擁して西国落ちした平家は、緒方惟義に大宰府から追われ、逃げ込んだ芦屋の山鹿城にも敵が迫ってきて、『取る物も取りあへず、小舟にとり乗って、渡られた』先が「柳の御所」。 一時的にであるが、安徳天皇が住まわれた所ということで御所となった。「大里(内裏)」という地名が現在まで残る。 源平盛衰記の中の、小舟に乗った平家が到着した場面 「沢辺の虫は声弱り、礒打浪に袖を濡す。柳と云所に着かせ給ひたりけるに、楊梅桃李を引植て、九重の都に少似たり」 京の御所に似せて、柳、梅、桃、李を植えたという。 そこで平忠度が次の歌を詠んだ |
都なる九重の内恋しくば 柳の御所を立寄りて見よ | 平忠度 |
9月13日、名月の夜、平家の一門は、都での栄華を極めた生活を思い出し、観月の宴を催した。 その時に詠まれた歌 |
分けて来し野辺の露と消へずして 思はぬ里の月をみるかな | 平経正 |
君住まばここも雲井の月なるを なほ恋しきは都なりけり | 平時忠 |
打解けて寝らざりけり楫枕今宵の月の行くへ清むまで | 平宗盛 |
名にしおふ秋の半も過ぬべしいつより露の霜に替らん | 平行盛 |
月を見し去年の今宵の友のみや都に我を思ひ出づらむ | 平忠度 |
恋しとよ去年の今宵の終夜月みる友の思ひ出られて | 平経盛 |
そんな御所神社を訪問した。 御所神社・・・福岡県北九州市門司区大里戸ノ上1丁目11 ![]() 大里という地名は内裏から転じたもの。 ![]() 社殿。 ここは明治天皇の御幸もあったらしい。 |
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