すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
御油(愛知県豊川市)
夏の月御油より出でて赤坂や | 松尾芭蕉 |
東海道の御油宿と赤坂宿との間は2km足らずで、宿場の間隔としては最も短い。芭蕉の句も、夏の夜の短さに例えている。 東海道膝栗毛で弥次さんが茶店のおばさんに距離を尋ねたところ、「お〜い、と叫んだら聞こえるほど」とのこと。 宿場がこれほど近いところにあるので、客の奪い合いが凄まじかったようだ。 東海道五十三次「御油」(広重) ![]() Wikipedia「御油宿」 御油を描いた東海道五十三次の浮世絵には、旅籠の「留め女」が旅人を無理やりに客引きしている様子が描写されている。 ■現在の御油宿跡 ![]() ![]() ![]() 宿場町として、ほとんど保存されていないようだ。 その代わり、と言うわけではないが、御油と赤坂の間の「御油の松並木」は、きちんと整備されていた。 ■御油の松並木 ![]() ![]() ![]() 現存する東海道の松並木のうち、一番美しいとのこと。 ただし、この松並木の辺りにはキツネが化けて出てくるという話があり、東海道中膝栗毛の弥次さんも北八を化けたキツネだと思い込んで、一騒動が起きている。 さて、「狂歌入り東海道」で描かれている「御油」は、御油宿の東の音羽川に架かる御油橋。 ![]() 慶應義塾図書館 挿入されている狂歌はこれ |
此ゆふべ櫛やけづらむ妹が髪あけ油てふ宿につく夜は | 狂歌入東海道 |
「上げ油」 = 天皇陛下に献上する油 = 「御油」 ということらしい。 ■御油橋から望んだ音羽川の光景 ![]() ![]() 両岸に桜並木。花見の頃は賑わうのだろう。 |