すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
萩原(奈良県宇陀市)
伊勢本街道と初瀬街道の分岐点に当たる榛原に「萩原の宿」があり、この二つの街道はそれぞれ伊勢参宮路であったため、江戸時代の萩原の宿は参宮客で大いに賑わっていたようだ。 と言って別にここは歌枕の地であったわけでなく、ごく普通の街道沿いの宿だったのだが、 @江戸時代、本居宣長が伊勢から大和へ旅行にきた際に、雨がひどかったので予定していた長谷まで進まずに、手前の萩原で泊まった Aそれは春の旅行であったが、萩原の宿の「萩」は秋に咲く花なので、秋だったらよかったのにと思った Bそしてその思いを歌に詠んだ |
うつしてもゆかまし物を咲花の をりたがへたる萩はらの里 | 本居宣長(菅笠日記) | |
ここは萩はらの里ですから、季節が秋で萩が咲いていれば花の色を映していく ところですが、季節が合わないのが残念です(訳:諏訪邦夫) |
Cこの歌をそのときの旅行記「菅笠日記」に記した ・・・こんな経緯から、菅笠日記フリークの私は萩原の宿に訪問することにした。 ![]() 街道沿いの町並み。 それとなく町並みは保存されているようだ。 ![]() これも ![]() これは本居宣長が泊まった旅籠の油屋 宇陀市の指定文化財として保存されている。 ![]() 油屋の前にあった道標 (もし本居宣長の行程中に雨が降らなかったら、もし宣長が歌を詠まなかったら、この萩原の宿は私と全く無縁の地だったのだろう。) |