すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


帚木(ははきぎ)(長野県阿智村)






園原伏屋に生ふる 帚木のありとてゆけど逢はぬ君かな 坂上是則(古今和歌六帖)



園原の伏屋という所に生えている帚木という木は、遠くから見るとまさしくあるが、近寄ってみるとなくなるという。

この歌は、離れていると情がありそうに感じるが、訪問しても逢ってくれない女のことを恨みながら詠んでいる。

この歌が有名になり、源氏物語の帚木の巻につながっている。


源氏物語では、
空蝉の弟の小君を使いにして空蝉と手紙のやりとりをするが、なかなかなびいてくれない。


帚木の心を知らで園原の道にあやなく惑ひぬるかな 光源氏(源氏物語)


数ならぬ伏屋に生ふる名の憂さにあるにもあらず消ゆる帚木 空蝉(源氏物語)


坂上是則の帚木の歌を本歌として応酬の歌を交わす源氏と空蝉。


空蝉は、「雨の夜の品定め」で頭中将が勧めた「中の品の女」に該当(上等ではないが下臈でもない、中くらいの身分の女)。
この後の展開では、光源氏は紀伊守邸に入り込み、空蝉が義理の娘の軒端荻(のきばのおぎ)と碁を打つのを覗く。夜が更けて光源氏は空蝉の寝室へ忍び込むが、空蝉は薄衣を脱ぎ捨てて逃げてしまい、結局軒端萩と契ってしまう。


昔は夜這いとかが一般的だったのだろうか。東海道中膝栗毛ではある宿で、若い娘に夜這いを掛けたところ、間違えてその婆さんと契ってしまったという話があったような、なかったような。













現在、阿智村の山中に帚木の枯死した根元部分が残っていて、史跡として整備されているという。昭和時代に台風で倒れたらしい。

実は、帚木に通じる山道の入り口まで車で行ったのだが、、大雨だったことと、山道を10分間ぐらい歩く必要があったことから泣く泣く断念した。



雨が降る中、車で入り口まで行ったが、この情景を見て訪問を諦めた。
此の付近に坂上是則の歌碑があるのだが、それも見つけられず。
残念。




園原にある観光ビジターセンターの名は「ははき木館」
閉館していた。







木曽路名所図絵 (早稲田大学図書館)

電場にいるのが空蝉で、左下の人物は空蝉の弟の小君か













マムシが怖いです






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