すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
箱崎の松は筑紫の国を代表する歌枕。 神功皇后は、宇美の里(福岡県宇美町)で応神天皇をお産みになったが、その際、お胞衣(おえな/へその緒、胎盤)は箱に入れて白砂青松の岬(御崎)に埋めた。そして標(目印)として松を植えた。 つまり「お胞衣を入れた箱」、「岬の目印の松」がキーワード。 その「箱崎の松」をご神木として その松は老木となり、古い時代の生き証人のように語られたり、また枯れては代々植え継がれてきて、現在も境内に「 そのほかにも箱崎宮はエピソードに事欠かない。 まず蒙古襲来の際は、亀山上皇が「敵国降伏」の祈願をし、二度にわたる襲来を退けたので、敵襲防衛の神として信仰されている。楼門には「敵国降伏」の扁額が掲げられている。 また、マイナーな演目ではあるが、能の「 とりあえず筥崎宮に訪問した ■ ![]() これは一之鳥居。石造りの独特のシルエットで筥崎鳥居というらしい。黒田長政が建立。 ![]() 箱崎の松、「筥松」。ご神木である。 ![]() 楼門。「敵国降伏」の扁額が掲げられていて「伏敵門」と称せられる。 ![]() 「敵国降伏」の扁額 これはすごい。 ![]() 拝殿、本殿 ![]() 光の加減でよく見えないが、この堂には亀山上皇の銅像が納められている。 ![]() 蒙古襲来絵詞の案内板 ![]() 元寇関連の史跡 いろいろなアイテムが集められていた。 ![]() 元寇の歌があったらしく、音符の石碑があった。 ![]() 能「唐船」の謡蹟が整備されていた。
![]() 一之鳥居から海まで長大な参道が続く。 ![]() 博多湾。 ここは「お潮井浜の真砂」といって、身を清める砂浜。 現在でも神事が行われているようだ。 ![]() 「お潮井浜の真砂」の沖はこんな感じ ![]() 一般的な港の風景になっていた ![]() 飛行機から 右手の博多湾から参道が緑色になって続いているのが見える。 箱崎を詠んだ歌 |
千早振る神代に植えし箱崎の松は久しき標しなりけり | 法印行清(続古今和歌集) |
幾世にか語り伝へむ箱崎の松の千歳のひとつならねば | 源重之(拾遺和歌集) |
箱崎の松はまことの緑にて香椎のかたもつみはきこえず | 源俊頼 |
そのかみの人は残らじ箱崎の松ばかりこそわれをしるらめ | 中将尼(後拾遺和歌集) |
跡たれて幾世経ぬらむ 筥崎の標の松も神さびにけり | 新拾遺和歌集 |
昔のことを知っている松の老木の擬人化など、古いことなどが主なテーマとなっている。 変わり種としては、源氏物語の「近江の君」関連の歌。 弘徽殿女御に会いたいと気が狂ったような歌を送ったところ、その女房からの返歌。近江の君は「松は待つ」ことだと喜んだ。 |
常陸なる駿河の海の須磨の浦に 波立ち出でよ筥崎の松 | 源氏物語 |
玉くしげふたたび三たびいくそたび見るともあかじ箱崎の浦 | 三条実美 |
久方の月見草咲く箱崎の浜の松原をただ一人行く | 柳原白蓮 |
どちらも箱崎の海岸あたりの情景を詠んだもの。 三条実美の歌は、「箱」の関連語として「 |
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