すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


花の窟(和歌山県串本町)




        

うわー
なんということだろう!

これが日本の風景だとは思えないほどの圧倒的な存在感、インパクト!
三重県の辺境地にあるために二線級の扱いを受けているマイナー名勝地であるが、もしこれが京都市内にあれば門前町ができるほどの大した観光地になっているだろう。

花の窟、「はなのいわや」と読む。
日本書紀で、伊弉冉尊(イザナミノミコト)は軻遇突智(火の神/カグツチノミコト)を出産する時に陰部を焼かれて死んで、「紀伊国の熊野の有馬村」に埋葬され、それ以来住人たちは、季節の花を供えて伊弉冉尊を祭ったと記されている。

そんなとんでもない由緒があることから、なんと世界遺産に登録されているらしい。(ほとんどの人が知らないと思う)







そんな花の窟は今は花窟神社となっている。
和歌山県新宮市に行った際に足を伸ばして花窟神社へ行ってきた。



新宮市からは近いと思っていたが、七里海岸をひた走り、思った以上に時間がかかった。

これが入口。


森の中へ参道が続いている。




突き当たりの場所が伊弉冉尊(イザナミノミコト)を祀ったところ。

見上げると、

これが花窟神社のご神体。
これはすごい!

岩の上からロープのようなものが伸びている。

こんな案内板があった。


図会の写しもあった。昔からの神事なのだろう。


よく読んでいないけど、なにかすごいことをしているようだ。



こんな花の窟を詠んだ歌が残っている。


木の国花のいはやに引縄の長くたえせぬ里の神わざ 本居宣長


境内に歌碑



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そのほかにも花窟について、いろんな歌人が詠っている

三熊野の御浜によする白浪は花の巌屋のこれぞ白木綿 西行
神無月春ごこちにもなれるかな花の岩屋に花祭りして 加納諸平
天つ人いはほをなづる袂にや法のちりをばうち払ふらむ 増基法師(いほぬし)











さて、これは花の窟の前の熊野灘の風景

江戸時代の「紀伊名所図会」に熊野灘は次のように描写されている。
「・・・右の方は並木の松原百数十町連なり、左は東南の蒼海渺渺として白浪磯に打ちよせ、向こうに新宮の岬を見る。
 沖を走る大舟釣おり、海士の小船などの風景言語に絶す。実に旅中第一の景地というべし。」

「旅中第一の景地」とまでは思わなかったが、それなりにすごいものがあった。





花窟神社のMAPを拝借しました





この辺りは観光ルートから離れているので、人もまばらでした。





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