すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


波多(三重県津市)




【小ネタ】



壬申の乱の悲劇の皇女、十市皇女は675年に伊勢斎宮へ参詣している。
万葉時代、大和国から伊勢に通じる街道は三重県の名張を経て一志郡を通っていたようだ。
十市皇女は一志郡にある波多神社に立ち寄り、次の歌を詠んでいる。


霰降りいたも風吹き寒き夜や旗野にこよひわがひとり寝む 十市皇女




とりあえず、波多神社に行ってみた。


田園が広がるなかに小さな森が残っていた。ここが波多神社。
じつに立派な社叢である。




入口の鳥居。鳥居をくぐれば正に神域の雰囲気。



社殿



「大神宮拝標」の碑。
ここから伊勢神宮に向かって拝んだのだろう。



「神武天皇遙拝所」の碑。


やはりここは何かと伊勢神宮と結びついているようだ。









さて、十市皇女の伊勢参詣の途上、侍女の吹黄刀自が十市皇女に捧げた次の歌は万葉集の中でも秀歌の一つとされている。


十市皇女の伊勢神宮に参り赴く時に、波多の横山の巌を見て、吹黄刀自の作る歌

川の上のゆつ岩村に草生さず常にもがもな常処女にて 吹黄刀自(万葉集)
川のほとりの神々しい岩の群に草が生えず清らかなように、何時までも
変わることなくあって頂きたいものです、永遠の若い乙女のままで
(新日本古典文学大系本) 












一般的な村の鎮守社でした。




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