すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


初倉山(静岡県島田市)






打ちわたす幾瀬あまたの大井河 見えてぞ遠き初倉の山 藤原為家(藻塩草)



何本もの川筋に分かれている大井川を渡っていると、遠くに初倉山が見えてきたよ、という意味。
藤原為家は定家の三男で、鎌倉政権とも良好な関係だったので東海道を往来したのだろう。

現在では県道381号線の大井川橋が架っている。連続トラス橋で南側に歩行者用の橋が併設されている。距離は1026メートル。

今回、東海道を歩いた時に、県道大井川橋を渡ってきた。
歩いて渡っていたのは私一人で、主に学生たちが自転車で渡っていた。


県道大井川橋。トラスは17連。昭和3年の架橋。



橋の上からの眺め。
上流に発電用ダムができて以来、水量が極端に減ったようで、川原砂漠と呼ぶらしい。
昔は「箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ大井川」という馬子唄があったが、現在ではちがうようだ。



橋の真ん中あたりから下流を望む。
え〜と、正面に見えるのが、大井川の右岸で、初倉山。
歌の中の、「見えてぞ遠き初倉の山」!の光景である。



初倉山を詠んだ句


遠江国、 国の山 ちかき所の 千句に
こゑやけふ はつ蔵山の ほととぎす 宗長




詠み手の宗長は島田に庵を結んでいたようで、JR島田駅前に宗長庵址が整備されている。三つ並んだ石碑の一番右が上記の句碑。














明治時代、職を失った川越人足や徳川家の旗本たちが
茶畑として切り拓いたとのことです。






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