すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


芳養(和歌山県田辺市)




芳養は「はや」と読む。


熊野参りを「紀州路」から向かうと、和泉山地をはじめ数々の峠を越えていき、そして次は海沿いのルートをたどる。
岩代、千里浜、南部を過ぎたところ、牟婁(田辺)の手前に芳養は位置する。

こんな道程を詠んだのが次の歌


山峰重こえての路の濱つたひ日数すたちぬはやの浦 川井立斎(熊野紀行)


同じ作者が芳養の茶店から眺めた風景を詠んだ漢詩                


「茶店ありいとさゝやかなる庵ながら きよらかに見えければ立よりて」
芳養浦邊松樹深  
日浮孤島夕陽沈  
四州遙見波濤上  
数点風帆慰客心
 
川井立斎(熊野紀行)


どちらにも松が登場する。
浜辺なのだから松があって当然なのだが、印象に残ったのだろう。
現在では海岸は埋立てられ、人工の漁港が造られている。
当然、松林もなくなっていた。


芳養漁港



漁港の外の防波堤からの風景
旅人の心を和ませたという、帆船などもなかった。



防波堤からふと眺めてみると、埋立地に植樹が見えた。



近寄ってみると、松だった。



「松樹深し」ってものではなかったが、これぞ芳養の浦松であろう。



漁港にはカモメが集っていた。

















なんと、ここの地名は「芳養松原」です。






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