すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
芳養(和歌山県田辺市)
芳養は「はや」と読む。 熊野参りを「紀州路」から向かうと、和泉山地をはじめ数々の峠を越えていき、そして次は海沿いのルートをたどる。 岩代、千里浜、南部を過ぎたところ、牟婁(田辺)の手前に芳養は位置する。 こんな道程を詠んだのが次の歌 |
山峰重こえてきの路の濱つたひ日数すたちぬはやの浦松 | 川井立斎(熊野紀行) |
芳養浦邊松樹深 日浮孤島夕陽沈 四州遙見波濤上 数点風帆慰客心 |
川井立斎(熊野紀行) |
どちらにも松が登場する。 浜辺なのだから松があって当然なのだが、印象に残ったのだろう。 現在では海岸は埋立てられ、人工の漁港が造られている。 当然、松林もなくなっていた。 ![]() 芳養漁港 ![]() 漁港の外の防波堤からの風景 旅人の心を和ませたという、帆船などもなかった。 ![]() 防波堤からふと眺めてみると、埋立地に植樹が見えた。 ![]() 近寄ってみると、松だった。 ![]() 「松樹深し」ってものではなかったが、これぞ芳養の浦松であろう。 ![]() 漁港にはカモメが集っていた。 |