すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


辟田川(富山県小矢部市)




往昔、辟田川では鵜飼が盛んだったらしい。
大伴家持は鵜飼をモチーフにして、長歌そして反歌二首を辟田川にて詠んでいる。

ここの鵜飼は、鵜匠が舟に乗って鵜を操るのではなく、鵜匠も一緒に川の中を渡っていって獲物を追い込む徒歩鵜漁だったとか。まあ、どっちもピンとこないのだが。

ただ、辟田川が現在のどこの川なのか、まだよく分かっていないらしい。
とりあえず、小矢部市を流れる小谷部川も候補の一つなので、写真を撮ってきた。


富山県の七大河川のうちの一つ。
昔は河口付近では射水川と呼んだ。



これが辟田川。



小矢部市の、名も無き橋の上から撮影




次に歌碑撮影に向かった。
国道8号線の小矢部バイパスの、富山方面のポケットパークにあるという情報があった。バイパスにのるのは大変だったが、なんとか到着。


盆休みに行ったので雑草が生い茂っていた。
大伴家持の辟田川の三首(長歌+反歌二首)の歌碑があった。
とても立派な作りであった。


あらたまの 年行き更(か)はり 春されば 花のみにほふ あしひきの 山下響(とよ)み 落ち激(たぎ)ち 流る辟田の 川し瀬に 子さ走る 島つ鳥 養伴なへ 篝さし なづさひ行けば 我妹子が 形見がてらと 紅し 八入(やしほ)に染めて 寄せたる 衣し裾も 通りて濡れぬ 大伴家持(万葉集)





反歌
紅の 衣にほはし 辟田川 絶ゆることなく 我れかへり見む 大伴家持(万葉集)





反歌
年のはに し走らば 辟田川 八つ潜けて 川瀬尋ねむ 大伴家持(万葉集









とにかく立派な歌碑であったが、何の案内板もないので、全くの古い置石状態であった。
もったいない気がするが、辟田川の鵜飼の歌なので、地味すぎる。


いや〜、雑草と見事に同化してしまっている。



ポケットパークって、休憩所のようだけど、トイレもないし自販機もないし、あるのは辟田川の万葉歌碑のみ(涙)











その他、平安末期の歌人、二条院讃岐も辟田川の鵜飼を詠んでいる。


辟田川くだす鵜舟にさす棹の音さゆるまで夜はふけにけり 二条院讃岐(夫木和歌抄)


ただしこちらは鵜匠が舟に乗るタイプの鵜飼の歌。
たぶん二条院讃岐も現地を訪れたことがないので、鵜飼=鵜舟となったのだろう。しようがない。







地図のマークはポケットパークの万葉歌碑の位置
その北側を流れる子撫川も辟田川の候補の一つ





地味でした






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