すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


飛騨(ひだ)の細江(奈良県橿原市)





白真弓斐太の細江菅鳥の妹に恋ふれか寐を寝かねつる 万葉集


え〜と、白真弓は「ひ」等に架かる枕詞。菅鳥はオシドリ。
飛騨の細江にいるオシドリのように、妻に恋い焦がれて寝られない、という意味。
この歌は一般には岐阜県の飛騨地方を詠んだ歌とされている。枕詞の「白真弓」は、現在では飛騨地方の地酒の名前になっていて有名。
飛騨市には細江歌塚公園があり、この歌の歌碑が設置されているという。
そしてJRには飛騨細江駅もあって、揃いすぎている。

ところが、奈良県橿原市にも飛騨という地名があり、この歌は大和国の歌だという説が、非常に少数ながらある。




橿原市には飛騨町と上飛騨町がある。
「細江」とは川のことか。この地を流れるのは飛鳥川。
「飛騨の細江」とは飛鳥川のことなのか?



上飛騨町を流れる飛鳥川。
上飛騨橋から上流を望む。



これは下流方向。
オシドリはいなかった。



上飛騨橋



上飛騨町には藤原京の朱雀大路の跡地が史跡として保存されている。



現地にあった案内板の航空写真を接写。
飛鳥川が流れている。
小高い山は「日高山」。
日高と飛騨は“ひだ”つながりだけど、なにかあるのかな。



藤原京の跡地。遠くに耳成山が見える。



大和国の飛騨も、藤原京に飛鳥川に大和三山があって、万葉モード全開であるが、現地を散策してみても全く万葉歌で詠まれた「飛騨の細江」ゆかりの地として手を上げている様子はなかった。

思うに、この辺りは万葉集に詠まれた地が他にいくらでもあるので、今さら飛騨ぐらいは岐阜県に譲っても良いと、そう考えているのだろう。







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岐阜県の飛騨にも行ってみたいです。






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