すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
![]() ![]() 風待ちのために引津湾で停泊したとのことだが、引津湾とはこんなところ。 ![]() 綿積神社から湾口を望む。 穏やかな海である。 ![]() 湾奥 GoogleEarthではこんなかんじ |
上が玄界灘。引津湾では外海の荒波を避けることができる。 右にあるのが可成山で、これも歌枕。 上記の遣新羅使が引津亭で風待ちした時に詠んだ万葉歌がある。 |
草枕 旅を苦しみ 恋ひ居れば 可也の山辺に さ男鹿鳴くも | 万葉集 |
沖つ波 高く立つ日に 遭へりきと 都の人は 聞きてけむかも | 万葉集 |
天飛ぶや 雁を使に 得てしかも 奈良の都に 言告げ遣らむ | 万葉集 |
秋の野を にほはす萩は 咲けれども 見るしるし無し 旅にしあれば | 万葉集 |
妹を思ひ 寐の寝らえぬに 秋の野に さ男鹿鳴きつ 妻思ひかねて | 万葉集 |
大船に 真楫しじ貫き 時待つと 我れは思へど 月ぞ経にける | 万葉集 |
夜を長み 寐の寝らえぬに あしひきの 山彦響め さ男鹿鳴くも | 万葉集 |
引津から出航すると、ついに日本を離れるので、ちょっとホームシックになってるようだ。雁を使にして都で待つ人に言葉を伝えたいとか、女鹿恋しくて男鹿が鳴いているのを聞いて眠られなくなっている。 さて今回訪問したのは、引津湾の南にある綿積神社(福岡県糸島市志摩船越) ここには「万葉の里」という史跡が整備されている。 ![]() 参道 ![]() 社頭 ![]() この鳥居は海を越えて可成山に向いている。 ![]() 鳥居から見た可成山。 上記の万葉歌の一つ目に詠み込まれている。 遣新羅使人以外の万葉歌 |
梓弓 引津の辺なる なのりその花 摘むまでに 逢はずあらめやも なのりその花 | 万葉集 |
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