すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


日永の追分(三重県四日市市)






「道が左右に分かれているところを追分という。『日永の追分』は東海道と伊勢街道の別れ道である。」(現地の案内板)



四日市側から、日永の追分を撮影。道路を右手に曲がるのが東海道で、直進(左)で進むのが伊勢街道。

街道マニアが泣いて喜びそうなポイントである。




鳥居は安永三年久居出身で江戸にいた渡辺六兵衛と言う人が、江戸から京都へ行くとき、ここから伊勢神宮を遙拝するようにと思って立てたものである。(現地の案内板)

伊勢神宮の二の鳥居。
昔は街道を跨いで立っていたらしい。



現在では三重県の指定記念物(史蹟)となって、整備されている。

こんなかんじ。












【日永を詠んだ歌】
    





梓弓春の日永の水の面に月すみ渡る天白の橋 西行


※梓弓は春の掛詞
※「天白」は日永を東西に横断して流れている川


天白川(旧東海道より)








昨日立ち今日立ち見れば日永なる洲崎に見ゆる松の村立 西行


※「洲崎」は日永の海側にある地名
  海岸沿いに松がむら立っていたようだ。








行き侘びぬいざ浜村に立ちよらむ 朝明過ぐるは 日永なりけり 鴨長明


※「浜村」は四日市の浜田、「朝明」は四日市の北にある地名













伊勢参宮名所図会にも日永の追分は描かれている。

早稲田大学図書館


十返舎一九の『東海道中膝栗毛』では北八が、この地の茶店「かぎや」で金比羅詣りの旅人と饅頭の食べ比べをして、饅頭代三百文をだまし取られる様子が記されている。

そこでこの歌、

盗人に追分なれやまんぢうのあんのほかなる初穂とられて







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「東海道日永郷土資料館」がありましたが、閉まってました。











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