すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


広瀬(奈良県河合町)








地図を眺めると本当に興味深い地形である。
南北から川が集まってきて大和川に注いでいる。
西流する大和川に対し、右岸は東から佐保川、岡崎川、富雄川が流れ込み、左岸からは寺川、明日香川、曽我川が流入する。その曽我川には直前に高田川や葛城川が合流している。
ここの町名は「河合町」で、流する意味。
そして「広瀬」は川幅が広いという意味。
古代、奈良盆地の水運が盛んであった頃、広瀬の地はいろんな河川が出会う地として交通の要衝になっていた。

この付近は、現在でも地味が悪く、昔からの自然堤防上の集落を除き、ほとんど開発されていない。
しかも南から北流する河川は天井川になっており、地球温暖化が進む中で今後も甚大な自然災害が起こる可能性が大きい地域であろう。




堅い話はぬきにして、広瀬を詠んだ歌の紹介


広瀬川 袖つくばかり浅きをや 心深めて我が思へらむ 万葉集
広瀬川は徒渉するほど浅い。そのように浅いあの人の心だものを、
自分の心の底まで、なぜこんなに思い込んでいるのであろう。
(大和万葉旅行/堀内民一著) 



ひろせ河わたりの沖のみをつくしみかさそふらし五月雨のころ 山家集




「山家集の研究」というホームページの管理人によると、広瀬川とは大和川であろうと推測されています。










今回、河合町の河川合流地に鎮座している廣瀬大社に行ってきた。

長い参道が伸びる。
まさに静寂につつまれた空間であった。
ただしそれは参拝客が皆無だったことによるものであろう。




当社は大和盆地を流れる全ての河川が一点に合流する地に鎮座し、不浄を祓い豊かな稔りと成し給う水を司る神であり、朝廷をはじめ万民を守護する御膳神として古来より厚く信仰されてきました。
(廣瀬大社のホームページより)

ふ〜ん








広瀬周辺の風景写真


川西町付近の曽我川
草木が繁茂しすぎて流れが見えない。



これも。川西町付近から曽我川と高田川の合流地点を眺める。
右手奥から高田川、左手から曽我川が流れて来、右手前に流れる。
この写真からは全く分からない。



えっと、
これは曽我川と葛城川の合流地点。
河川マニアが泣いて喜びそうな場所である。



う〜ん。
これはどこだったかな?
三宅町付近の曽我川か。



上記付近。橋から川の流れを写す。



とにかく広大な氾濫原が広がっていた。
もし豪雨が続くと、大和川の水位上昇により、支流の洪水が吐けなくなり、この辺りは内水被害予想されている。
奈良盆地という地形の特徴であり、今までもそうであったし、今後も起こるのであろう。





現在の広瀬川を発見!

インターネットで知ったが、曽我川と葛城川の間を流れる小川を「広瀬川」というらしい。
たまたま別項「百済野」の撮影をしていて、広瀬川に架かる橋が写っていたもの。(写真中央部の橋)
前述のとおり、「広瀬」は「川幅が広い」という意味からも、いにしえの広瀬川とは全くもって異なるもの。






*********





いやはや川の合流地点はなにかと興奮します。






copyright(C)2012 ゆかりの地☆探訪 〜すさまじきもの〜 all rights reserved.