すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
上田秋成は、江戸時代の人で、雨月物語の作者として有名。 また賀茂真淵の一門として国学を学び、万葉集をはじめ和歌を研究した。 そして古典の詠歌を本歌として、日本各地の名所歌を詠んだ。 「信濃国」では、更科、園原、諏訪海、浅間山、須賀の荒野 、桐原とともに一重山が詠まれている。 一重山以外は歌枕の地として一般的に認知されているが、一重山は聞いたことがない。 とりあえずGoogleで「一重山、長野県」で検索してみると、千曲市にある標高457メートルの山があることが分かった。観月の名所の更科に近く、北国街道にも近い。もしかすると相当な由緒がある名所なのかもしれない! その後、いろいろと調べてみたが、ハイキングコースの山であること以上の追加情報はなかった。 上田秋成の詠歌 |
ひとへ山隔つ都は秋の夜の月を賑ひ見るものにして | 上田秋成 |
本歌は万葉集から |
一重山 |
大伴家持(万葉集) |
万葉集の方は、夫婦が山一つ隔ててお互いを想っている様子を詠んだもので、「一重山」という地名はなく、敢えて言うとこの歌は久邇京の大友家持と平城京の坂上大嬢の間にある佐保山を一重山と言い回したもの。 上田秋成の歌は、大伴家持の歌を上手く取り入れた本歌取りであるが、問題は信濃国の歌と分類されていること。どうしてこんなことになってしまったのか。 よく分からない。 もしかすると絶景ポイントなのかも。 ■2021年夏の信州旅行で現地を訪問してきた。 真ん中の山 ![]() ![]() ![]() え〜と、特に景趣に優れた山でもなさそうだ。 |