すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


本宮(和歌山県田辺市)

熊野三山の一つ。熊野本宮がある。
かつて熊野川の中洲に本宮大社があったが、明治時代に洪水で流され、現在は近くの高台に移されている。


 熊野へ参らむと思へども
 徒歩
(かち)より参れば道遠し すぐれて山きびし
 馬にて参れば苦行ならず
 空より参らむ 羽を賜
(た)べ 若王子
梁塵秘抄
熊野詣に行こうと思うが、歩いて行ったら道は遠いし山は険しい。
馬で行けば修行にならない。熊野の神様、どうか羽をください。



梁塵秘抄は当時の歌謡集。
後白河法皇は若い頃から宴会が大好きで、宴会の場で歌われる「今様」(流行歌)を集め、梁塵秘抄としてまとめた。
 



 熊野へ参るには
 紀路
(きぢ)と伊勢路(いせぢ)のどれ近し どれ遠し
 広大慈悲の道なれば
 紀路も伊勢路も遠からず
 梁塵秘抄
熊野詣に行くには、和歌山経由か伊勢経由、どっちが近く、
どっちが遠いのだろう。熊野の神様へ行く道なので、どちらも
そんなに遠くないのだろう。





現在の熊野本宮入り口


階段を登ったところにある社殿






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白河上皇のご詠歌の歌碑が境内にあった。

咲きにほふ 花のけしきを見るからに 神のこころぞ そらにしらるる 白河上皇








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この近くには温泉が多い。
なかでも川床から温泉が湧いている「川湯温泉」は野趣があってよかった。