すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


星崎(名古屋市緑区)





星崎の闇を見よとや啼千鳥 松尾芭蕉(笈の小文)


千句塚公園の入り口に刻印


有名な松尾芭蕉の星崎を詠んだ句。
東海道の鳴海の近くの干潟に星崎という地名があって、その地名から夜の星が連想されたことから、星崎は夜や闇や月に関係する歌枕として、メジャーな鳴海の傍らで細々と命脈を保ってきた。
ところが松尾芭蕉が目を見張るような星崎の句を詠んだことから一躍有名銘柄の仲間入りした。
と同時に、句の中の千鳥にも注目が集まり、星崎周辺は千鳥の名所となった。
千鳥が闇夜に鳴くものかどうかは置いといて、千鳥の群れが飛び交う干潟は星崎のイメージとなり、干潟を見下ろすことができる高台に千鳥塚の碑が建てられた。


今回、東海道を歩いた時、地図では街道のすぐ横に千鳥塚があったので、寄り道して訪問する計画を立てた。


この日は朝に大阪を出発して名古屋から地下鉄に乗ってスタート地点の七里の渡しに着いたのが昼過ぎのこと。前日、仕事が終わったらすぐに帰ろうとしたものの、休み前だからと同僚と飲みに行ってしまい、帰ったのが日付が変わった頃。当然始発電車には乗れず、かなり予定の時刻から遅れたスケジュールとなってしまった。



前日少し飲みすぎたかなと思いながら東海道を歩いていくと、千鳥塚がある千句塚公園が見えてきた。


このマンションの背後にある丘に千句塚公園があり、そこに千鳥塚がある。
地図ではすぐ横にあったが、実際に行ってみると、すごい高低差があって怯んでしまった。



民家の横に鳥居があり、参道を上っていく。



千句塚公園の石碑。
「千句塚」の名前は、鳴海で芭蕉たちが催した句会で千句まで詠み上げたことを記念したもの。



千鳥塚への案内板



公園の一番奥に千鳥塚があった。
エノキの木陰に設置されている。



千鳥塚はこんなかんじ



公園には見晴らし台があった。
先ほど下から見上げた時にあったマンションも見える。ここは11階建てのマンションの9階ぐらいの高さであった。



ジャーン!
これが星崎の干潟の現在の姿。
この高台から海が見え、干潮の時には千鳥の群れが飛び交っていたのだろう。

ここからの光景は東海道名所図会に曰く
「南は大洋渺渺として、南勢朝熊岳、野間の内海、あるいは三河の伊良湖岬まで、はるかに見えわたりて風景の地なり」











そのほかの、星崎を詠んだ歌を紹介


星崎あつたのかたの漁火のほのもしらずや思ふこころを 藤原仲実堀川百首


月影の我が住むかたも晴るる星崎遠く思ひ出でつつ 覧富士記


星崎にこぎてわたれば棚ばたの舟乗りすらんここちこそすれ 下河辺長流


どれも星に関連する内容となっている。












想像以上に、坂がきつかったです






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