すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


法金剛院(京都市右京区)




ながからむ心もしらず黒髪の みだれて今朝は物をこそ思へ 待賢門院堀川(百人一首)

百人一首のなかで最も官能的なこの歌、作者はさぞかし妖艶で美しい女房であろうと、想像を逞しくしてしまうが、豈図らんや、現役を引退したというか、尼になったあとに、若かりし頃を思い出して詠んだもの。黒髪ではなく、白髪のお婆さんが技巧を駆使して作った後朝の歌だそうだ。

そんな作者の待賢門院堀川は、その名の通り待賢門院に仕える女房であった。

待賢門院は、鳥羽天皇の中宮で、崇徳天皇と後白河天皇の母。
法金剛院を再興し、ここで晩年を過ごしたそうだ。
待賢門院の出家にお供したのが、待賢門院堀川で、尼となって同じく法金剛院に住んでいたようだ。


そんなつながりで、この法金剛院は待賢門院堀川のゆかりの地となっている。



【法金剛院】 ・・・ 京都市右京区花園扇野町49


法金剛院の庭園は国の特別名勝に指定されている。わけても夏の盛りにハスの花咲く庭園の池の光景は素晴らしいそうだ。



関西 花の寺、二十五霊場の一つ。やはりハスが有名らしい。



京都 十三佛霊場の一つでもあるようだ。











さて、上記の待賢門院堀川の百人一首の歌であるが、黒髪の、みだれ髪は後世の与謝野晶子に引き継がれている。
「みだれ髪」にこんな歌

髪五尺ときなば水にやはらかき少女ごころは秘めて放たじ 与謝野晶子(みだれ髪)

その子二十櫛にながるる黒髪のおごりの春のうつくしきかな 与謝野晶子(みだれ髪)


















ハスの花咲く時期に再訪します






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